三菱UFJ証券のシステム部元部長代理(44)=懲戒解雇=が約148万件の顧客情報を不正に引き出した問題で、元部長代理が、同僚の営業業務を支援する過程で、顧客データベース接続に必要なほかの社員のIDを入手していたことが分かった。同社が17日の記者会見で明らかにした。
同社によると、元部長代理は、営業担当の社員らがデータベースを利用する場合、コンピューターの操作手順を説明したり、システムトラブルを解決するシステム支援業務を担当していた。このため元部長代理らシステム支援担当の社員は、他の社員のIDで社内データベースに接続することもあったという。
また、同社はこれまで、社内データベースに接続する権限を持つ社員は元部長代理ら8人と説明していたが、実際には309人に上ることも明らかにした。
元部長代理は不正に引き出した顧客情報を自宅のパソコンからメールで名簿業者に販売していたが、名簿業者には「正当に入手した名簿」とうそをついていたことも社内調査で判明したという。
警視庁は、他人のパスワードなどを無断使用してコンピューターに接続することを禁じた不正アクセス禁止法違反の疑いもあるとみて、元部長代理から任意で事情聴取を進めるとともに、パソコンの接続記録などを分析している。【町田徳丈】
毎日新聞 2009年4月17日 23時45分