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DPC病院の経営のあり方を紹介

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 メディカルコンソーシアム医事マネジメント部会はこのほど、「『選択と集中』の近森病院診療支援部〜医事課の取り組み」をテーマに第8回部会を開き、近森病院(高知市)医事課の谷知明課長が、医療機能やスタッフ機能の絞り込みなどDPC時代の同病院の経営戦略や医事課の取り組みなどを紹介した。

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 初めに、MMオフィス代表の工藤高氏が、「施設基準取得のシミュレーション」をテーマに講義した。
 工藤氏は、あらかじめ定められている人員基準、施設基準について、人員や施設の整備状況を届け出て、受理されることで診療報酬を算定できる「届け出医療」を積極的に検討する姿勢が増収につながると指摘。「最初から無理だという医療機関もあるが、無理ではなく、どうしたら要件をクリアして届け出できるかをポジティブに考える必要がある」と述べた。
 また、今後の診療報酬は「医療の質」を反映したものになるため、日本医師会や日本看護協会の専門分野の研修会受講や資格取得が届け出医療の要件になる項目が増加することが予想されるとして、こうした資格の取得などを病院側が積極的にサポートする必要があると述べた。
 さらに、工藤氏は多くの届け出医療が「プロダクト・ライフ・サイクル理論」に当てはまると指摘。その上で、「どうせ点数が下がるからと、様子見をしている医療機関があるが、早く参入しなかったことによって、かなり損失が出るケースもある」と述べ、自院の方向性に合った施設基準は、先手を打って満たしていく積極性が必要だと強調した。

 続いて、谷氏が近森病院の経営戦略を紹介した。
 谷氏は、医療費の計算方式が出来高払い方式からDPC方式に変化したことによる影響を分析。
 薬剤や診療材料など物のコストについては、出来高払い方式では仕入れ値と保険請求など請求額の差額が利益で、手間と物のコストを上げるほど、売り上げが上がる構造になっていたが、DPC方式になったことで、売り上げが一定になり、物のコストを下げれば、利益が出ることになったと述べた。
 人件費の変化については、出来高払い方式では人を入れて、良質で効率的な医療を行うほど検査や投薬が減り、むしろ経営的にはマイナスだったが、DPC方式ではチーム医療で良質の人材を増やし、医療の質を向上させ、合併症などを防止すれば、長期入院が減り、患者1人当たりの収益ではプラス効果が表れるとした。また、スタッフが増えても人件費比率が下がるため、結果的に物的コスト比率も下がるなど、人を入れて良質で効率的な医療を行うほど、経営的にもプラスになると指摘した。

 谷氏はこうした変化の中、病院らしい病院としてあり続けるためには、「いかに多くの患者を早く治して、自宅に帰っていただくかが大事」として、「高い専門性」と「マンパワー」が必要と述べた。
 また、医事課から見たDPCの導入については、「診療情報管理士の資格取得や職員の正職員化など、以前から行ってきた取り組みが、DPCを導入することで医事課にもパラダイムシフトを起こし、医事課職員も単なる事務部門ではなく、診療情報・報酬を基に患者治療の一連の流れを理解し、専門的見地から医師にその情報をフィードバックする診療支援部門へと変化した」と述べた。

 さらに、谷氏は近森病院が取り組む医療機能とスタッフ機能の絞り込みを紹介した。
 同病院では、医療機能の絞り込みのために、救急や入院医療などに特化して単価を上げた。スタッフ機能の絞り込みでは、チーム医療を推進し、医師は医師にしかできないことをするなど、専門性の高い多職種のチームアプローチで医療の質を上げることで、患者数が増加。また、労働生産性を上げることで、人的、物的コストを下げた。谷氏はその実現のために事務スタッフがあらゆる現場への支援に取り組んでいることを強調した。
 その上で、医療・福祉はサービス業なので、人手が少なくてはできないと指摘し、「少数精鋭ではなく、多数精鋭で取り組む必要がある」と述べた。

 次回部会は4月25日午後2−5時、早稲田速記医療福祉専門学校(東京都豊島区)で開かれる。美原記念病院(群馬県伊勢崎市)医事課の内田智久課長が「189床の美原記念病院の病棟機能分化について」と題して講義する。参加費は8000円。


更新:2009/04/17 22:15   キャリアブレイン

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