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車いすの12歳、地元中学に通いたい 町教委は事故懸念(1/3ページ)

2009年4月17日16時20分

写真:「金閣寺を建てたのは誰」。女児は、母親からの問題の答えをノートに書き、「あってる?」=奈良県下市町の自宅、高橋写す「金閣寺を建てたのは誰」。女児は、母親からの問題の答えをノートに書き、「あってる?」=奈良県下市町の自宅、高橋写す

写真:「ターンも出来るのよ」と車イスで自由に動く女児=奈良県御所市「ターンも出来るのよ」と車イスで自由に動く女児=奈良県御所市

 漢字も書ける。水泳もできる。なのに、なぜ――。今春、地元の公立中学への進学を望んだ奈良県下市町の車いすの女児(12)が町教育委員会に入学を拒まれ、学校に通えない日々が続いている。1日にこの中学で上り下りする階段は800段として、町教委は特別支援学校を勧める。女児を地元小学校に通わせた母親(45)は「同じように学びたいという思いが彼女を成長させた」と訴える。

■「みんなと同じように」

 8日にあった中学校の入学式に、女児は出席できなかった。「とても寂しいけれど、いろんな人が応援してくれるのでうれしい」

 脳性まひで生まれた時から手足が不自由。階段の上り下りやトイレでは介助が必要だが、食事や身の回りのことはたいていできる。車いすで1人で移動でき、地元の小学校に通って、他の児童と一緒に授業を受けてきた。

 1年生のときは震える字で「1」と書くのがやっとだった。練習を繰り返し、いまは得意な漢字も早く書けるようになり、「カリカリという鉛筆の音を聞くのがうれしい」。夏休みや冬休み、次の学期に習う漢字をすべて覚える。毎日約2時間のリハビリを欠かさないがんばり屋さんだ。

 お気に入りの小説は「赤毛のアン」。丸ごと暗記し、どのページからでも最初の1行を聞けば、スラスラと暗唱できる。体育でも、6年生になると仰向けで25メートル泳げるようになった。

 女児は自宅から車で約30分の奈良県立明日香養護学校(同県明日香村)に籍を置くことになった。だが、登校しておらず、同校の講師が13日から女児宅で教える予定だ。

 母親は「みんなと同じようになりたいという思いが娘を成長させた」。女児は「小学校時代の友だちと一緒に勉強したい」。そう語り、中学進学をあきらめきれずにいる。県教委に調整役になってもらい、解決の道筋を探っている。

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