乳がんは治るのか−早期発見と医学の進歩−
日本女性の乳がんが増えています。
最近の数字では「22人に1人」、アメリカの「8人に1人」に近づく勢いとなっていますが、依然として検診受診率は上がっていないという現状もあります。
メノポーズを考える会は検診を受けることの重要性をもっと多くの人に知っていただきたい。
年間を通して検診に関心を持っていただきたいということで「アニバーサリー乳がん検診」を提案しています。
齊藤先生は、順天堂医院乳腺センターという乳がん治療の最前線の現場におられるわけですが、その立場からご覧になって、検診を受けることの重要性とメリットをどのように感じておられますか。
よく「乳がんは治るのかどうか」という問いがあるんですね。最近も、フィリピンの医学留学生から質問されたばかりなんですが、まず、転移をする前の時期、早い時期に発見すれば、乳がんは治る病気といえます。しかし、治療の選択肢はどんどん増えています。かつて治らなかった、治りにくかったものが治るようになってきています。
ですから、啓発をすすめるとすれば、第一に「早く見つけましょう」ということです。そして第2に、「早く見つけられなくても治療手段がどんどん進歩していますのであきらめないで」ということです。
今わかっている正確な情報を入手して、どんな治療なら治る可能性をたくさん秘めているかということを知って、治療をうけていただきたいですね。
そこがポイントですね。この会のキャンペーンは、少しでも多くの全国の女性に検診を受けていただきたいという願いから始まっています。日本女性の乳がんの発症率は45〜50才直前が一番高いといわれていますが、その頃の女性というのは子育てや仕事のことなどで一番忙しいのかもしれません。つい自分のことは後回し、検診も忘れがちという声も聞こえてきまして、「自分の大切な日を検診日としてライフスタイルの中にとりいれてください」という思いでアニバーサリー乳がん検診という提案をしています。
中には、まだ情報が浸透していないこともあって「検診を受けて何か発見されたらどうしよう」とあれこれ考え二の足を踏んでいる、検診から遠のいてしまっている方もまだまだいるようです。それで、もっと細かい情報まで発信していって、思い悩むことはないんですよということを伝えたいと思っています。
「乳がんは怖いから検診いきなさい」と言われると「怖いから行かない」という人もいるんですね。そうじゃないよと上手に伝えるには、どうしたらいいんでしょう。
私は正直に伝えることだと思います。「怖い」とか「大丈夫だから」とか形容詞だけが先に行ってしまうと逆に不安も高まります。こういう病気でこうなっていくんですと、正直なことがきちんと知らされると、自分で解釈できると思うんです。
医療の現場におられて、「もうちょっと早くきてくれたら」と思うこともおありではないですか。
そうですね。今は二つに分れているように思います。まず、「何かあったらたいへん」「ちょっと痛みがあるから」と非常に過敏になって来院される方。その一方では「うちはその家系じゃないから」「しこりはあったけど痛くも何ともなかったし、元気だし」と、そうとう遅くなってから来院される方もまだまだおられます。
まさに情報の格差があるということですね。
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