乳がんは予防できるのですか
つい最近も、CNN配信の情報を見ていたら、「1日2杯以上のアルコールを飲む人たちは乳がんのリスクが高く、1杯増えるたびに10%リスクが上がる」という調査結果が出ていました。食事やアルコール、喫煙などの生活習慣とがんの予防について、さまざまな情報が出ていますが。
予防はまだできないと言わざるを得ないのです。原因が分からないですから。
ふだん我々が食べたり飲んだりしているものの中に、これをとると乳がんのリスクが減るとか増えると言われているものはたくさんあります。でも、本当にアルコールの何がどうしていけないのかとか、脂肪の多い食事がどこをどうして発がんにかかわるのか、それはまったく解明されていないんです。
そこがわからないと一次予防、つまりがんの発生を阻止するということはまだできないといわなくちゃいけないと思います。
食事について、もともと日本人の食生活はいいのではないかと言われてきましたが。
繊維の多いもの、油脂の少ない食事、それはおそらく発症には多少関わっていると思います。ただ、再発には全然関係ない、というレポートも出ています。
怖れずに、前向きに検診を受けましょう
乳がんの大きさが何センチまでなら助かる、いやそうではない、とか、女性たちの間でも情報が飛びかっています。でも、さきほど先生がおっしゃったように、治療法がどんどん進んでいるのですから、自己判断で自分を追い詰めてはいけませんね。
そうですね。私は、いらっしゃった患者さんが、どんなステージの方でも全部助かると思って治療しています。あきらめなくちゃいけない人は一人もいないと思います。もちろん、何を目標におくかということも大切。完全にがんを消失させるということを目標とすれば、難しい人もいます。
これは抗がん剤との相性でもあり、まだまだ私たちの持っている治療手段というのは、すべての方達のがんを一掃するようなところまではいっていません。
ただ、うまくつきあっていく時間をなるべく長く持つという意味では、かなり多くの人たちが成功できるようになってきています。
うまくつきあいながら、新しい治療法を待つということもできるかもしれませんね。
これから先は、もっと、個別化した医療がすすんでいくでしょう。たとえば、これまでどんな抗がん剤も合わなかった人たちにも、その人のがんのこういう特徴を狙ったという治療薬が考えられつつあります。すぐには難しいのですが、今、製薬会社が一生懸命、候補になる薬を育てようとしているところです。
今、全国の病院でマンモグラフィやエコーなど、より精度の高い画像機器の整備が行なわれていますね。次のステップとして、がんの性格を見ることや治療法について、専門家がかなりのレベルに揃うようになると考えています。時間はかかりますが、整備段階だと言えます。
私たち女性は、恐れることなく、前向きに積極的に乳がん検診を受けていきたいですね。
今日はありがとうございました。
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