日本プロ野球記録の3085安打に日米通算で並んだ師匠、イチローのメモリアル満塁本塁打に、川崎宗則内野手(27)が続いた。3回に今季1号の3ラン。自ら「バットフリキリホームラン」と命名するほどノリノリだった。組み替えた打線はこの回、4点を奪って逆転したが、投手陣が踏ん張れず、今季ワーストの12失点で西武に完敗。3カード連続で負け越し、借金が「3」に膨らんだホークスはロッテと並び最下位に転落した。
■「らしいですね」
師匠イチローのメモリアル満塁弾に続いた今季1号も、チームの勝利には結びつかなかった。川崎が3回、会心の3ランでゲームをひっくり返した。だが投手陣が踏ん張れずに完敗。それでも鷹の元気印が視線を落とすことはなかった。
流れを引き寄せたかに見えた。1-2とし、なおも1死一、二塁の3回。「絶対打ってやろう、絶対ランナーをかえしてやろうと必死でした」。ここまで通算160勝のうち40勝をホークスから挙げている西口の初球を狙い打った。
「打った瞬間は、いくとは思わなかった。『バットフリキリホームラン』です! 」。自ら命名するほどノリノリの一撃。136キロの真ん中直球を振り抜き、打球は2008年7月23日のオリックス戦(ヤフードーム)以来、267日ぶりのアーチとなって右翼席最前列で弾んだ。
試合前、イチローが満塁弾を放ち、張本勲氏の持つプロ野球最多記録の3085安打に日米通算で並んだ。ボルテージは上がりまくっていた。「イチローさんらしいですね。狙ってたんじゃないですか。僕は僕で試合に全力を尽くします」
イチローと行動をともにしたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。出場機会が少なかった分は、師匠との“極上トレ”で補い、感覚を研ぎ澄ました。2次ラウンドの米国サンディエゴ。早出練習中にイチローから提案された。「ムネ、投げようか」。突然の登板申し出に「いいんですか」と恐縮しながら、天才打者の球を必死に打ち込んだ。
■「切り替える!! 」
初球をフリキった一発は今後、チームに好影響を与えるに違いない。「うちの選手は振り切っていない。西武にしても日本ハムにしても初球からくる。もっと初球から振っていけばいい」。試合前にこぼしていた指揮官の思いを川崎は体現し、ナインに示した。
打線組み替えも実らず、3カード連続の負け越しで借金は今季最多の「3」に。今季初の緊急ミーティングも招集された。ロッテと並び最下位に転落したが、川崎は明るい声を響かせた。「監督も『こういうときもあるから顔を上げてやろう』とおっしゃった。あすも試合があるし、切り替えていきたい」。さわやかな笑みでチームを覆う重苦しいムードを振り払い、球場を後にした。
(大窪正一)
=2009/04/17付 西日本スポーツ=