北方領土:「3島と択捉一部返還でも」 前外務事務次官

2009年4月17日 2時30分 更新:4月17日 2時30分

 日露間の懸案となっている北方領土問題の解決を巡り、前外務事務次官の谷内正太郎政府代表は16日までに毎日新聞のインタビューに応じ、「個人的には(四島返還ではなく)3.5島返還でもいいのではないかと考えている。北方四島を日露両国のつまずきの石にはしたくない」と述べ、日本が領土交渉で四島すべての返還に固執するべきではないとの考えを明らかにした。

 北方領土に関しては、2月18日にロシア極東のサハリンで行われた日露首脳会談の際、麻生太郎首相とメドベージェフ大統領は「新たな独創的で型にはまらないアプローチ」で協議を加速させることで一致している。谷内氏は、外務次官時代から麻生首相のブレーン役を務めてきており、2月の首脳会談にも同行している。谷内氏の発言は、前大統領で現ロシア政権に強い影響力を残すプーチン首相の5月来日を前に注目を呼びそうだ。

 谷内氏は「(歯舞、色丹の)2島では全体の7%にすぎない。択捉島の面積がすごく大きく、面積を折半すると3島プラス択捉の20~25%ぐらいになる」と指摘した。政府は歯舞、色丹、択捉、国後の四島の帰属をロシア側に求める立場を崩していないが、麻生首相は先の日露首脳会談の際、記者団に「向こう(ロシア)が2島、こっち(日本)が4島では進展がない。政治家が決断する以外、方法がない」と強調。谷内氏の発言は麻生首相の意向を反映したものとみられる。

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