カナロコ鉄道ノート
かながわの鉄道をもっとおもしろく―。鉄道をこよなく愛する神奈川新聞の記者が、神奈川にゆかりのある鉄道の話題を紹介します。2006年秋から続いた「鉄道ブログ」をリニューアル。コラムだけではなく、現場の取材や体験をもとにした、より読み応えのある特集記事をお届けします。更新は毎月2回程度の予定。記者たちの鉄道ノートがつむぐ「読み物」をどうぞお楽しみください。
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いずみ野線延伸、「LRTが黒字化」と報告書/神奈川県の研究会
- 2007/05/29
- ニュース
ツインシティ構想の新幹線新駅(寒川町倉見地区)までの相鉄いずみ野線延伸について検討する「いずみ野線延伸研究会」(委員長・黒川洸東京工大名誉教授、十七人)は二十八日、二〇〇四年度から三年間の研究成果を松沢成文知事に報告した。事業採算性は次世代型路面電車(LRT)が黒字化できるとしているが、地域の合意形成を課題に挙げており、具体化はまだ先になりそうだ。
県が事務局の同研究会は湘南台~倉見地区の延長約八キロのルートで、鉄道四案、LRT二案、鉄道とLRTの混合二案の計八案のシステムをさまざまな観点から検討した。
その結果、事業採算性では、LRTで道路の主要交差点を立体化し、新交通システムと同程度の時速二十五キロとした場合、償却後累積が黒字化する。しかし、他のシステムでは黒字化せず、四十年間で最大一千億円以上の赤字となる。採算性を確保するためには、県と地元市町は毎年五~二十億円程度の公費助成が必要になると試算している。
延伸部の一日当たりの延べ利用者数は鉄道が六万人近くと最多で、LRTは五万人まで達しない。延伸によって短縮される移動時間の効果は、鉄道の場合で年間約百二十億円、LRTだと同約七十~百億円と見積る。
報告書では、いずみ野線の延伸を「効率性、公益性が高く、整備の必要性が高い」とする一方、採算面で有望なLRTについては「自動車交通への影響、導入空間となる道路管理者との費用負担の調整に向けた検討が必要」と指摘している。
報告書を受け取った松沢知事は「研究成果を基に、地元と相談して検討していきたい」と話した。
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