■出会い系の彼氏~chapter#19~
アナタの事を思いつつもアタシは出会い系を続けている。
色んな人と話てみたい。
その時はそう思っていた。
出会い系の力を借りるってのはよくないかもしれないけど。
ひと昔前なんかは『メル友になろう』って直接ケータイに入ってきたもんだ。
ほとんどの人のアドレスが電話番号のアドレス(買った当初のアドレス)だったから適当に送ってもヒットした。
が、迷惑メールが激増したためアドレスを変える人が増え、今では電話番号のアドレスの人はほんの一握りではないだろうか。
そこで知り合った1人のオトコ。
アタシより5コ上の某警備会社で働く人。
何度かのメール交換や電話を経て実際に会うことになった。
実を言うと乗り気じゃなかったんだけど、相手が結構会おうってしつこかったかたら、とりあえず物色してみるかって感じで会ってみたのだ。
顔の画像はもらってて顔は知ってたけど、よく実物と違うってことあるでしょ?
ちょっとだけ期待してみた。
…。
フツーだった。
こんなもんだよなぁ。
彼は仮にAとしよう。
Aはなんでもおごってくれた。
ご飯はもちろん、アタシがピアスつけてたせいかピアスまで買ってくれた。
そのへんのお店に入った時のことだが、皮生地のクマのヌイグルミを見つけたAはアタシに『かわいいね』って言った。
アタシもまぁ『うん、かわいいね』って相手に合わせた。
そしたらそれもってレジへ直行。
お店の袋に入れられたそれをアタシにポンと手渡す。
どうやら買ってもらったらしい。
別に欲しいって訳でもなかったんだけど、買ってくれるならまぁいっか。
更に、『おそろいのもの欲しいね』って始まった。
別にお揃いの欲しい訳じゃないけど、そこで『いらない』とは言えずにいたアタシ。
結局お揃いのストラップ購入。
もちろんAが買った。
その例のストラップはガチャピンとムック…。
いや別にいいんだけどね、アタシがお金出してるわけじゃないし。
そんな感じのやりとりが続いた。
そして、夕方からバイトが入っていたアタシはそそくさとAと別れ家路に着く。
その途中にAからメールが来たのだが、その内容が問題だ。
『今日はすごく楽しかった。(中省略)メールや電話してた時から気になってたんだけど、今日会ってもっと気になった。付き合って欲しい。』って。
あー…。
いやぁね、そうじゃないかとは思ってたんだよ。
自分でこういうのもなんだけどコイツはアタシに気があるなとは思ってたよ。
でもアタシが好きなのは…。
悩んだ挙げ句、というか大して悩んでもいないんだけど、アタシが出した答えは『イエス』。
すごく相手に失礼なんだけど、とりあえず付き合ってみようかなって軽い気持ちで承諾してしまった。
この人がアタシの気持ちを変えられるならいいなってそう思った。
アタシはこうして大して好きでもないオトコと付き合うことになった。
心のどこかでは金もってるし、なんでもおごってくれるし、こういうのもいっかなって醜い部分もあった。
叶わぬ恋より、アタシを大事にしてくれる人の方がいいし。
そう自分に言い聞かせた。
必死に自分に嘘をついていた。
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