■初めまして~chapter#18~
アナタと出会った、出会い系サイト。
まだアタシはケータイに会員登録をしていた。
メル友もたくさんいた。
別にその全員と関係をもっていたわけじゃないし、ただフツーにメールを楽しんでいた。
だからすぐメールが途切れることもフツーだった。
別にその相手に未練も何もない。
その時だけ楽しめればよかったから自分からメールをすることもなかった。
これこそ健全な出会い系サイトの利用だと思う。
メールだけで終わればいい。
アナタと同じように恋する相手も出来ないし。
そんなある日だった。
いつものようにメールを受信した。
出会い系サイトからだ。
アタシが利用していたサイトはアドレス非公開のサイト。
一度、そのサイトを通過して、アタシの元へサイトのアドレスで来るものだから相手もアタシも互いにアドレスがわからない仕組みだった。
『初めまして』
そう始まるサイトからのメール。
『メル友になろ。』
って感じで入ってきた。
そのサイトのいい所は相手の入力したプロフが細かくわかる所だ。
名前(H.N)はもちろん、身長、体重、血液型から始まり、出身地や職業、年収、好きなタイプ、似ている芸能人などなど細かくプロフがわかる。
んでいつものごとくそれを確認するアタシ。
『ん?』
身長、体重、血液型とアナタに あてはまっている。
極めつけは H.Nが同じ…。
もしやと思いつつ返事を出してみた。
『あのね、アタシの知り合いとプロフほとんど一緒なんだけど…。』
すぐに返事がきた。
『似たようなヤツもいるもんだ^^』
似たようなってお前なんだろと思いつつ話を続ける。
『そいつの名前は?』
ってきたから思いっきりフルネームで入れてやった(ちゃんと漢字で)。
『(アナタの名前)』
…。
すぐに返事がなかった。
しばらくケータイをにらみつつ待ってみた。
10分経っても20分経ってもメールが来ない。
ずっとメールを待った。
アナタのアドレスは知ってるけど、あえてサイトを通じてのメールを待ってみた。
しかしメールは来ない。
来たのは次の日の朝。
あっという間に日付けは変わってしまったのだ。
どうやら向こうもアタシに気付いたようだ。
サイトの中でアナタと会った時の名前のままだし…。
なんかアタシだと気付いてメールくれないのかと思うと悲しくなり、あんなこと言わないで、知らないフリしてメール続けてれば良かったと後悔した矢先の時だった。
まだ寝ぼけ眼の朝、ケータイが鳴る。
ごそごそとパジャマ代わりのジャージのポケットからケータイを探し出し、眼鏡のレンズを通してケータイの画面を見た。
『直接メールして!』
たったそれだけの中身の出会い系サイトからのメール。
アナタからのメールである。
何時間も経ってからの返事だった。
忘れてたのか用事があったのか、それとも電波が悪かったのか、メールしにくかったのかわからないけど、返事が来た事に対して正直ちょっと嬉しかったので直接アナタにメールを送ってみた。
『アタシのアドレス知ってるでしょ?』
って。
今度はすぐにアナタからの直接のアドレスで返事がきた。
『いーじゃん^^』
アタシだと確信できなかったのか、それともアタシのアドレスを消したのか、そこらへんの謎は残るがこうしてまたメールのやり取りがはじまった。
結果的にここでわかったことは、アナタは出会い系をしてるってこと。
そして新たに他のオンナを探しているってことがはっきりした。
自分のものにできないだけに腹が立ってきた。
そして悲しくもなった。
出会い系ばかりやってるアナタ。
『やめて』
そう言えたらどんなにいい事か。
言える立場じゃないアタシは心の中でそう思ってみた。
top of nonfiction≪
next≫