■ダメ~chapter#17~

ベッドの上でテレビを見ているアタシにアナタは言った。
『今日、お前を呼んだのはさぁ…』
『ん?』
その時めずらしく言葉を濁らせたねアナタは。
『んーとな。』
『何ぃ?』
冷蔵庫を開けて飲み物を取り出しながらこう言った。
『ぶっちゃけヤりたかったんだよ。』
わかってたよ。
『そんなんだと思ったぁ。』
アタシは笑顔で答えた。

アタシはこういう時のオンナなんだよね。
こうなるなってわかって来たんだもの、別に構わない。

でも本当は心のどこかでアナタの事を諦めようと思ってた。
叶わぬ恋だってわかってたし。
このままじゃいけないってそう思いアナタに惹かれ続けた。
せめて感情がなければこんなに苦しむこともなかったのに…。
楽に快感だけ求めることができたのに…。

『どーせ他にヤッてたコいたんでしょ?』
『いや、最近はヤってないって。』
最近はしてないけど、その前はヤってたんじゃん。
『でもさぁ、あたしじゃなくてもヤれれば誰でも良かったんでしょ?』
『だれでもいいってわけじゃない。』
ねぇ、その意味が知りたいよ…。
誰でもいいってわけじゃないのなら、アタシは何なの?

『迷子になったら、またこーして来て(迎えに)やる』
そんな事いわれるとどーしよーもない。
嬉しくて嬉しくて。

アナタはアタシの気持ちに気付いてるはず。
それなのにそんな事言うから、アタシはますますアナタから離れられなくなってしまう。
押さえようと思っている感情も歯止めがきかなくなってしまう。

そしてまた同じ過ちを繰り返してしまう。

アタシはアナタにこうしてピタってくっついているだけで幸せを感じてしまうの。
そんなことアナタはちっとも知らないでアタシを抱いているよね。
最近行為の時にしていなかったキスもしてくれたね。
舌を絡めたキスから唇が離れると、代わりに吐息が漏れだした。
でも今回は結構早目に終わったのを覚えてる。

『イクっ。』
『…。』
『しばらくヤってなかったからイクのも早いんだよね。』
本当にヤってなかったんだ。
アナタがしばらくヤッてないと早いってもの知ってた(他のオトコもそういうヤツいるけど)けど、本当だったんだ。
それで都合が合ったとはいえ、アタシを必要としてくれたんだと 、そう思うとますますアナタを独占したくなった。

見なれた部屋でのアナタとの関係はいつまで続くんだろう。
でも長く続いてもあと数カ月。
アナタが卒業するまでの期間。
そしてアタシが卒業するまでの期間でもある。
アナタは地元で就職するって言ってた。
それはこの土地を離れること。
アタシのいる所から離れること。

だから余計感情を膨らませちゃいけないのに。

だけど、もうダメみたい。


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