■理由~chapter#13~
どんなに好きでもナマを拒んできた。
アタシがナマを拒む理由は妊娠だ。
ナマでしても中出ししなけばいいって考えもあるけど、そんなの信用できない。
そんなの避妊法に含んではいけない。
アタシの友達は付き合って間もない彼氏との間に子供がデキた。
高校卒業してすぐのことだ。
避妊をしないコだったからよく心配した。
そして妊娠した。
1度嫁ぎ先から電話が来たことがある。
ケータイの向こうから聞こえてきた声は元気がないように思えた。
『ダンナとうまくいってない。』
友達がもらした言葉。
子供のあやしながら電話してるのか赤ちゃんの声が聞こえた。
話を聞くとここまで来るのに大変だったらしい。
妊娠した事がわかって、友達もその彼氏も悩んだらしい。
友達の親は堕せの一点張りで当時未成年だった友達の前に中絶の承諾書(?)を差し出してきたそうだ。
それでも友達は産むと親の反対を押し切ったが、内心不安だらけだったらしい。
『アタシ、どうしていいかわかんないんです。』
敵検診で看護婦に弱気な事を言ってしまったら、
『わかんないってアナタの子でしょ!アナタがしっかりしなくてどうするの!』
と叱咤されたそうだ。
それで産む決意をしたって。
『ダンナはケータイとか絶対見せてくれないんだよ。きっと見られちゃいけないオンナのばっか入ってんだよ。そのくせアタシのケータイ壊れたらお前にケータイは必要ないって買ってくれないの。』
愚痴が次々とこぼれた。
『アタシだって友達と連絡とりたいのに…。』
この時嫁ぎ先の固定電話で話していた。
『子供はすごくかわいいし、子供に罪はないけど、もしあの時妊娠してなればって思う時あるよ。避妊してればよかったって今さら後悔しても遅いけど。』
友達はそのダンナと付き合いが短すぎたようだ。
すぐ妊娠してしまったから、お互いの事を知らな過ぎたのかも知れない。
『だから避妊はちゃんとした方がいい。避妊しないとアタシみたいになるよ。』
友達からの警告である。
説得力がありすぎる。
現実だから。
妊娠が必ずしも悪いわけじゃないけど、堕すか迷うような妊娠はアタシはしたくないのだ。
今のアタシには子供は産めない。
だから例えアナタでも拒む。
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