割引郵便制度を悪用した郵便法違反事件で、大阪地検特捜部に逮捕された障害者団体「白山会」会長、守田義国容疑者(69)が、割引制度の利用を呼びかける独自の宣伝パンフレットを製作していたことが16日、分かった。有名企業が活用した“実績”を強調しており、広告主への営業に使っていたとみられる。白山会は実体がなかったとされるが、福祉のイメージを最大限に利用して顧客獲得に奔走し、収益拡大を画策していた実態が浮かび上がった。
[フォト]新生企業(現・伸正)が発送したダイレクトメール
「驚きのダイレクトメール(DM)料金37・1円」「製作から印刷までハガキ郵便代以下で出来ます」。色鮮やかな文字が目を引く宣伝用パンフレットはA4判で計12枚。平成18年ごろに製作されたとみられる。
表紙には白山会が名義を貸して発行していた定期刊行物と同じタイトル「BRIDGE TO THE NEXT」をデザイン。承認を受けた障害者団体が定期刊行物を低料金で郵送できる低料第三種郵便物制度の内容のほか、単価表やDMのサンプルを紹介している。
白山会についても「阪神・淡路大震災で親を亡くした子供たちの支援を目的に設立した会が前身」「政治的・宗教的思想が絡んだ団体をはじめ、一切の他団体の関与のない、純粋に福祉を目的として運営」と誇大に宣伝。DMの「取引実施企業」として、ベスト電器をはじめ、東証1部上場の通販会社や有名英会話学校など企業の名前を多数挙げて信頼感を高める画策も。
パンフレットは第三種郵便物利用の企画書として企業間で出回っているという。広告業界の関係者は「白山会と組めば、こんなに得をするのかという印象を抱かせる内容。白山会と印刷会社がこのパンフを持って広告主となる企業を回り、取引を拡大していったのではないか」と話す。
別の関係者によると、不正郵送を主導した広告代理店「新生企業」に名義を貸した他の障害者団体は、DM1通あたりで寄付金として約50銭を受け取ったのに対し、守田容疑者は3円も受け取っていた。「実体のない障害者団体の名前を利用して暴利をむさぼっていた」という。
守田容疑者は逮捕前、産経新聞の取材に対し「寄付金は1通50銭で、刊行物を発行するたびに赤字だった。それ以外の利益は一切ない」と話していた。
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