県立病院の経営形態の検討で、県福祉保健部の意向が地方独立行政法人化に傾く中、県病院事業局は慎重な判断を求める修正意見を同部に提出した。
見方によっては内部対立にもとられかねないが、同局が意見を記者会見で公表したことを多としたい。県民医療の重要な政策判断の過程をオープンにすることが、有意義な議論につながる。
昨年8月に諮問を受けた県医療審議会県立病院のあり方検討部会は3月、2012年度をめどに県立病院を地方独立行政法人とする基本構想を、仲井真弘多知事に答申した。これを受けて知事は、本年度に先延ばしにした方針決定を今月中にも行う。
あり方検討部会の7カ月の議論の間に、病院事業局は経営再建計画を策定した。現在の経営形態である「全適」(地方公営企業法の全部適用)の下で、本年度から県立病院の全事務職員の専門職員化に着手するなど懸命な経営健全化策に取り組んでいる。
独法化を指し示す基本構想に対し、病院事業局の修正意見は「経営課題に対する病院事業局の取り組みや成果が評価されていない」と反論する。独法化に反対を言明はしていないが、取り組みと成果に正しい評価を求め、現行の「全適」制度維持を訴えるものだ。
「あり方検討部会」の委員に病院事業局長や病院長らがなれない制度上の問題もあった。異例な修正意見表明は、現場当事者のやむにやまれぬ熱意と責任感の表れともいえよう。知事は方針決定にあたり、現場の声に真剣に耳を傾けるべきだ。
この間の県立病院改革の論議で、医療当事者をはじめ地域・離島住民に独法化への根強い不安と不満が出ていた。独法化で県立病院が担ってきた医療の質が失われないか、という懸念である。
県議会も県立病院の経営・運営方法について、拙速な判断を行わないよう知事に求める「県立病院のあり方に関する決議」を全会一致で可決している。
いずれにしろ、事業局を含め県、病院・医療関係者、県民のオープンな議論が不可欠だ。県民の命を守る良い病院をどうつくるのか。十分な議論を重ね、課題と改善策の認識の統一を図り、知事、部局の強いリーダーシップで経営健全化を断行してもらいたい。
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