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消費者庁 国民目線で考える行政に

 消費者行政一元化へ向け、ようやく第一歩を踏み出せそうだ。消費者庁設置関連法案をめぐる与野党の修正協議が合意し、今国会での成立が確実となった。早ければ今秋にも消費者庁が発足する見通しだ。

 消費者庁創設は、悪質商法による被害や食品偽装問題の頻発、中国製ギョーザ事件などを受け、福田康夫前首相が「国民目線の改革」の目玉政策として打ち出した。

 福田氏は退陣表明直後の昨年九月に“置き土産”として関連法案を閣議決定。後を継いだ麻生内閣が国会に提出したが、与野党対立に加え、景気の急激な後退を受けて優先度が下がり、たなざらし状態が続いていた。

 消費者庁は消費者行政を一元的に所管する新組織で、内閣府の外局に位置付ける。権限確保のため、表示、取引、安全、物価・生活の各分野に関連する計二十九法令を関係省庁から移管または共管し、二百人規模でのスタートを目指している。

 民主党は当初、消費者庁より独立性の強い「消費者権利院」創設を柱とした対案を提出し、対決姿勢をとっていた。歩み寄りへ路線転換した背景には、政府案修正に前向きな他の野党との「分断」を警戒、消費者行政に消極的との印象を与えたくないとの判断が働いたようだ。

 修正協議で最大の焦点となったのは、消費者行政を監視する機関の権限強化である。有識者でつくる機関の名称を「消費者委員会」とし、首相に対する勧告と省庁へ資料要求する権限を付与することで合意した。消費者庁の下部組織から、同格の内閣府外局に格上げすることも確認、同委員会の権限は政府案より大幅強化された。消費者庁のチェック機関にとどまらず、他省庁にどれだけにらみを利かせられるかがポイントとなろう。

 このほか、財産上の被害者に対する救済制度創設を三年をめどに検討、国民生活センターの在り方を含め現場の態勢整備を三年以内に検討することを付則に盛り込むことも決まった。

 消費者行政に対する国民の関心は高い。消費者庁の発足が縦割り行政を排除し、「国民目線」の改革の突破口となることを期待せずにはいられない。まずは生産者や産業育成に偏りがちだった省益優先の行政の体質改善が求められる。

 消費者優先にシフトできるかどうかは、その運営いかんにかかっているといえよう。各省庁を強力に指導する「司令塔」の機能が果たせなければ、屋上屋を架すことにもなりかねまい。


調書漏えい判決 情報提供への影響を懸念

 奈良県の医師宅放火殺人の調書漏えい事件で医師の長男の少年=中等少年院送致=を鑑定、供述調書などを漏らしたとして秘密漏示罪に問われた精神科医の被告に奈良地裁が懲役四月、執行猶予三年(求刑懲役六月)の有罪判決を言い渡した。

 この事件では、発端となった調書の引用本の著者は不起訴となり、取材源の医師のみが著者に調書を見せたとして起訴された。弁護側は、鑑定は治療が目的でなく鑑定人は秘密漏示罪が守秘義務を課す医師に該当しない。広汎性発達障害への理解を広め、少年と社会のためという正当な理由があった―などとして無罪を主張した。

 これに対し判決は「被告は法が規定する医師で、精神鑑定は業務に当たる」と指摘した。また「被告の行為は長男の利益を図るものとはいえず、正当な理由はない」とし、違法性は免れないと結論づけた。

 事件は情報提供や取材源の秘匿、出版の自由などをめぐって議論を呼んだ。調書をそのまま引用したような内容で情報源が特定できるといわれた本自体の問題性が指摘された。「命を差し出しても言えない」としていた著者は結局、取材源を公判で明かした。取材源を守り通せなかった点で、著者や出版社は批判されても仕方なかろう。

 しかし、最高裁によれば秘密漏示罪の判決は一九七八年以降初めてだ。捜査当局は極めてまれな罪を適用し「情報の元栓」の刑事責任を問うた。判決は、この判断を追認した。

 公判で弁護側は情報提供者を罰すれば取材が成り立たなくなり、表現の自由を制限すると主張した。確かに今回の判決は、情報提供者を萎縮(いしゅく)させかねないだろう。司法の判断が、結果として取材活動の制限につながらないか、懸念される。

(2009年4月16日掲載)
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