定額給付金の支給に合わせて発行されている割り増し付き商品券(プレミアム商品券)に関し、都内で先行発売した中野区で、予想外の「販売不振」に関係者が頭を悩ませている。港区内で3月に緊急不況対策で発売された商品券も半分近くが売れ残っている。消費刺激策として考えられた商品券そのものの消費が思うように進まない情勢だが、中野区などは「消費活性化のため、購入を」とポスターなどで呼び掛けを強め、販売期間を延長し売り上げを伸ばしたい考えだ。
プレミアム商品券は、給付金を地域商店街の売り上げアップにつなげようと、各自治体と商工団体が提携し、地域限定券として発行している。都の3月23日現在のまとめでは、都内62市区町村のうち33自治体で発売を予定している。
中野区は、区商店街連合会などが1セット(代金1万円)で1万1000円分の買い物ができる商品券を5万セット発行した。先着順で1人3セットまでと決め、11日から販売開始。週末の11、12の両日で完売との期待もあったが、15日時点の販売は約2割の約1万2000セットにとどまっている。
同区によると、区内では近年、プレミアム付き商品券の発行例がなく、金券管理の重要性も考え、販売場所を区役所に限定した。
区産業振興担当部署は「交通費がかかることを考えれば、購入しにくかったのかもしれない」と分析する。
このため、16日までの販売期間を30日まで延長し、JR中野駅近くの中野ブロードウェイ商店街など10カ所で再販する。同部署の高橋昭彦副参事は「給付金を貯蓄に回すのではなく、区内で使って町の元気に投資してほしい」と券購入を呼び掛ける。
一方、定額給付金支給に先立ち、港区商店街振興組合連合会は区の補助を受け、3月3日~4月8日に10%のプレミアム付き商品券を販売した。1セット1万円で計3万セットを発行したが、約1万セットが売れ残っているという。
販売に当たる港区商店街連合会の土屋敬子事務局長は「商品券の販売を区在住者に限定したから。在勤者が対象の商品券は1~2週間で1万セットを販売したこともある」と話す。今後、区内16カ所の商店街で再販する。【馬場直子】
〔都内版〕
毎日新聞 2009年4月16日 地方版