C大阪・柿谷、仕掛けるスタイルを貫いて (2/2)
セレッソ大阪 柿谷曜一朗インタビュー
■森島さんに認めてもらいたい
――“ミスター・セレッソ”こと森島寛晃さんが昨シーズン限りで引退しました
幼稚園のころからずっと森島さんだけは特別な存在として見てきました。濱ちゃんにしろ僕にしろ、森島さんと試合をしたいと思った回数は飛び抜けて多いし、一緒にプレーしたいと思いながら、ずっと長居スタジアムで試合を見ていました。
だから、昨年最後の愛媛FC戦も、森島さんの引退試合を兼ねたG大阪とのプレシーズンマッチも出られなかったというのは、自分が一番情けないです。森島さんにも悪いなと思いました。今まで森島さんを目指してやっていたのに、最終的に森島さんのためになれなかったなと思って。
――そういうこともあって必勝祈願の際、絵馬に「自分のために、森島さんのために!!」と書いたんですね
サッカーでは、やはり森島さんに認めてもらいたい。森島さんは、誰にでも「(柿谷は)いいよ」って言ってくれるけど、たぶん本当に認めてもらうには逆に嫉妬(しっと)されるくらいまでにならないといけないと思います。森島さんからはアドバイスもたくさん頂いたし、それを生かして今年はやっていきたいですね。
――今年、具体的にプレーを変えましたか?
いや、今までどおりです。ただ、1人でゴール前までいってやろうという気持ちを持ちながら、練習や試合に臨みたいですね。それが自分のユース時代からのスタイルでしたから。
――以前に言っていましたが、松井大輔選手(サンテティエンヌ)のように?
やっぱりDFは仕掛けられるのが怖いでしょう。日本代表の(ワールドカップ・アジア最終予選の)オーストラリア戦でも、仕掛ける選手がいないなと思いました。松井さんは体が重そうでしたけど、光るプレーはありましたね。
■今年のテーマは「Enjoy Football」
――今年のセレッソは1トップ2シャドーのシステムのようですが、狙いは2シャドーのところですか?
ポジションは前の方ですね、一番前でもいいんです。セレッソには結果を残した3人がいるので、なかなか出場するのは難しいですけど、それでも結果が出なければチャンスは来るだろうし、しっかり準備したいです。
――練習試合で、3−6−1の前目のポジションは?
やっていないですね。でも自分が3−6−1で出るんだったら、1トップが向いていると思います。カイオ、アキさん(西澤明訓)、塁さん(小松塁)の3人で、あそこは回す感じなんですけど。
――1トップが向いているというのは?
例えば佐藤寿人さん(サンフレッチェ広島)の動き、ゴール前でボールをもらう前の一瞬の鋭い動きですね。彼はカイオやアキさんとは全然違うタイプです。そこへほかの選手がパスを出してゴール、というのがいいなと。真司君、乾君(乾貴士)は周りも見えていてパスも出せるから、もっと僕なら手助けできるだろうなと。
――最後に今シーズンの意気込みを聞かせてください
真司君と乾君が代表に入って、ほかの選手はかなり刺激になっていると思いますし、同じポジションにいい選手がいることは、自分にもプラスになります。練習の時から刺激し合いながらできれば、お互いのレベルアップにつながるし、それが試合でプラスに出せればと思います。とにかく練習、試合関係なく、サッカーを楽しんで一生懸命やることが今年の目標です。「Enjoy Football(エンジョイ・フットボール)」ですね。
<了>
貞永晃二
JSL当時から日本サッカーを見続け、尊敬する賀川浩氏を大きな目標とするサッカージャーナリスト。関西サッカーを少しでも盛り上げようとセレッソ大阪を中心にあらゆるカテゴリーを取材している。ドーハの悲劇を現地体験したため、ジョホールバルに行けなかった小心者。生まれも育ちも大阪、自転車で練習に試合に駆けつける肉体派(?)
|