Ｃ大阪・柿谷、仕掛けるスタイルを貫いて （１／２）
セレッソ大阪 柿谷曜一朗インタビュー
４歳からセレッソ大阪一筋でサッカーを続けてきた柿谷曜一朗。２００７年Ｕ−１７ワールドカップのフランス戦では、ハーフウエーライン付近から超ロングシュートを決めて世界のサッカーファンの度肝を抜いた。将来を嘱望される１９歳のアタッカーだが、昨シーズンは一転してＣ大阪でも年代別の日本代表でも不本意な結果に終わった。柿谷のあこがれの先輩、森島寛晃の引退を機に、一層の飛躍を誓う新シーズンに向けて意気込みを聞いた。
■昨シーズンは１歳年を取っただけ
――まず昨シーズンを振り返ってください
セレッソがＪ１に上がれなかったので悔しい１年になりました。自分としてはチームに貢献できなくて満足のいかない１年で、試合に全然かかわっていけなかったのが一番悔しかったです。昨シーズンは、監督が最初からメンバーを固定していましたが、キャンプや練習でしっかりやればチャンスは来ると思っていて、第３節の（サガン）鳥栖戦から出られるようになりました。試合に出られたことはうれしかったですけど、出場し続けることができなかったのが悔しかったですね。
――チャンスを生かせなかったことで焦りはありましたか？
焦りはなかったです。調子が悪いわけではなかったんですけど、自分が思っていることやイメージしているプレーができなかったり、周りと合わなかったり……。原因はいろいろありますけど、何より得点やアシストという結果を出せませんでした。
――得点に絡めなかった原因は？
自分で考えて一つ一つ整理しながらやっていましたけど、やはり思っていることと合わないことが出てきました。監督のやって欲しいことに合わせて試合に出ることも大事ですが、自分のやりたいことをやり通して、なおかつ最低限のことをやろうと思っていました。でもそれがうまくいかず、信頼もされず、という感じでした。
――昨年秋にはＵ−２０ワールドカップ予選（ＡＦＣ Ｕ−１９選手権）もあって、セレッソで出られない悔しさを日本代表で爆発させるのかなと見ていましたが……
そうですね、それなりに思い切りやっていました。ただ、キャンプもあまりせずに、メンバーも全然固定できなかったですから。アジアの一番大事な大会だったのに、初めてプレーする選手もいたりして。僕自身けがもあって（本大会出場権を逃すという）悔しい結果でした。
――結局、昨シーズンのＪリーグ公式戦ではノーゴールに終わりました
ただ単にチャンスをモノにできなかった。シュートをもっと打てたはずだし、精度も低かった。得点の場面に絡んだ記憶がほとんどないです。一昨年（２得点）は楽しい時期もあったんですけど、昨年はゼロに近い状態で、１歳年を取っただけ。もっと自分なりに成長できたはずだと思います。昨年の失敗、悔しさを今年に生かして、自分にプラスになることをやっていこうと思います。
■自分の武器は誰にも負けない
――２００９年のＪリーグ開幕にあたり、昨年の失敗をどう生かしますか？
まずは一生懸命に取り組むこと、そして自分らしくサッカーをやりたいなと思います。正直、昨年はサッカーがすごく楽しいと思った時期がなかったです。ずっとセレッソでやってきて、プロになってからもその次の年もいろいろな人とプレーして、多くのチームと試合ができて、こういうプレーができて楽しかったとか、自分の中で快感みたいなものがあったんです。でも、昨年はその回数がすごく少なかった。
もっと人の目を気にせずにというか、自分が楽しければといいと思いながらサッカーをしたいですね。悪い意味じゃなくていい意味で楽しく、試合に出られたら勝ちにつながるような仕事、自分が納得できるプレーをしたいと思います。
――やれるという自信は失っていませんね
人それぞれタイプが違うし、プレーの仕方も違います。ただ、自分が武器としている、みんなに「おおっ」と言ってもらえるようなところは誰にも負けないというか、負けるつもりはないです。そういう選手が出てきても、「かかって来い」という感じなので。自信を失うとか失わないとか、僕には関係ないですね。
――ようやく年下（山口螢、丸橋祐介）が加入しましたが、「後輩の前で頑張らないと」という気持ちになりますか？
そうですね。でも、生まれた年は同じです。敬語で話してきませんし、あまり後輩という感じはしません。これでユース出身は濱ちゃん（濱田武）を入れて４人です。ガンバ大阪みたいな（ユース出身選手が多い）チームができたらいいんですけどね。２人を引っ張っていけるお手本になれたらと思います。