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台湾新幹線に黄信号 不況で乗客伸び悩み、借金返済支障

2009年4月15日23時0分

 【台北=野嶋剛】日本が海外に初輸出した新幹線システムを使った台湾高速鉄道(台湾新幹線)が07年3月の全面開通から2年を過ぎ、経営に黄信号がともっている。不況で乗客数が予想外に伸び悩み、開業時に抱えた巨額の負債返済に支障を生んでいる状況だ。大幅な本数削減や幹部の給与カットを実施するなど対応に苦慮している。

 台湾新幹線が発表した負債総額は同社の資本金の6割を超える675億台湾ドル(約2千億円)。負債の金利負担が大幅に営業収益を上回り、この半年で140億台湾ドルの負債を積み増した。

 台湾新幹線は目標本数を1日88往復として昨年は68往復まで増やした。これに対し、当初は順調に伸ばした乗客数が昨年8月の297万人(乗車率約47%)をピークに減少に転じ、1月は278万人(同41%)に落ち込んだ。

 本数増による営業収益の増加で負債を返済する従来の経営戦略を改め、先月から13%の本数削減と中堅幹部以上の10〜20%給与カットを実施。今後も金利軽減を金融機関に要請するほか、リストラに着手するとの観測も出ている。

 台北―高雄間を約1時間半で結ぶ台湾新幹線は、中南部まで台北の生活圏とし、台湾の生活スタイルに大きな変化をもたらした。発着時間も正確で、ビジネス層を中心に高い評価を得ている。

 一方、台北―高雄間の普通席が日本円で片道約4500円という費用は同区間の大型バスの3倍以上の値段。不況下の台湾社会で庶民を中心に割高な新幹線を避ける傾向が強まっている形だ。

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