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OBの技術 若手に

県警・捜査技能伝承官

捜査技能伝承官に任命された横沢さん(左)と青木さん(1日、県庁で)

 県警は1日、新たに設置した捜査技能伝承官に、捜査員OB2人を任命した。横沢耕二・元警部(63)は上田署に、青木日出二・元警部補(63)は長野中央署に、それぞれ専従の指導者として常駐し、若手警察官と現場に同行して捜査手法などを伝える。

 2人は、いずれも県警に40年以上勤め、大半を捜査部門で過ごした元ベテラン刑事。警務課によると、今後10年で県警の約半数近くの約1500人が退職する見込みで、組織の捜査力を維持するためにベテランの技術と経験を受け継ぎたいとしている。

 横沢さんは、白馬村出身。実家の隣が警察官舎という環境で育ち、刑事ドラマの影響もあって、自然と警察官を目指した。主に窃盗事件の捜査を担当。奥さんの形見を盗まれた男性に、取り返したネックレスを渡したとき、胸に抱きしめていた姿が忘れられないという。

 「被害者を救ってあげるのが仕事。そのためには、現場で何を感じて犯人検挙に結びつけるかを考えることが大切。同行すれば、足りない所をその場でアドバイスできる」と語った。

 青木さんは松本市出身。高校卒業後、東京都内の民間会社で働いていた時、銭湯で両親からもらった大切な時計を盗まれたことがあった。あきらめかけた時、老刑事が都内の質屋をまわって探し出してくれたという。「世の中にはこんな素晴らしい人もいるんだ」と、自らも刑事を志した。

 「足で稼ぐ」が信条。約30年前の身代金目的の誘拐事件では、足が棒になるまで聞き込みを続け、午前5時から翌日の午前2時までというまさに不眠不休の捜査を続けた経験もある。「今の若手は学力もあって優秀だけどあきらめも早い。科学の進歩で捜査手法も変化したが、足で稼ぐ伝統は残していかないといけない」と力を込めた。

2009年4月2日  読売新聞)
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