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ハイチ:公共医療制度が患者の十分な支えとなっていない

2009年04月15日掲載

資金拠出国はハイチ人の貧困層に対する医療サービスの危機的なギャップを無視してはならない


ハイチの首相、国連事務局長、30ヵ国余りの資金拠出国および国際機関による会合が14日ワシントンDCで開かれる。その目的はハイチの将来的経済・社会開発戦略に資金を割り当てることであるが、国境なき医師団(MSF)は、その一方でこの国の公共保健上の差し迫った危機が無視されてはならないと語る。MSFはハイチ政府と国際的資金拠出国に対し、ハイチ国民がより医療を利用しやすくするための具体的措置を即座に実施するよう呼びかける。

ハイチの首都ポルトープランスにあるMSFトリニテ外科治療センターの活動責任者ブライアン・フィリップ・モラーは語る。「ハイチの最貧層の人びとは今もなお、質の高い救急外科や産科ケアサービスを彼らに支払うことのできる費用で受けることは出来ません。これは許容しがたいことです。ハイチ政府と資金拠出国がこの国の経済開発に注力しているなか、貧しいハイチ人が質の高い、利用しやすい医療ケアを切実に必要としている事実を無視することはできないのです。」

過去2年間に安定性は増してきたものの、首都ポルトープランスの最貧層の住民はかなりの部分をMSFが提供する無料救急医療サービスに頼っている。公立・私立の医療機関は有料で多くの人にはその費用が支払えない。また公共の診療所の多くは経営上の問題、ストライキ、人員と医療物資の不足を抱えている。

「私たちの医療施設は患者であふれかえっており、時には治療を受けるにあたって多くの障害があるとわかっていても患者を他の公共病院へと紹介するより他にないこともあります」とマルティッサン地区のMSF責任者マッシミリアーノ・コッシは語る。「私たちは患者からは紹介された施設に薬がない、受け入れるスタッフがいない、もしくは施設が満員であったために家に帰されたという話を多く聞いています。また多くの場合、彼らは医療費が支払えないため、治療を放棄しなければなりませんでした。命に関わるケアを必要としている患者にとっては死につながりかねないのです。非常に憂慮すべき状況です。」

患者はしばしば、病院に行かずに家に居ることを選ぶ。経済的に無理のない選択肢がないからである。これは2月上旬に、MSFのジュード・アン救急産科病院が新しい場所に移転するために2週間閉まっていた時に明らかになっていた。同病院における責任者ハンス・ヴァン・ディレンはこう語る。「この病院の閉鎖を通して状況を調査した結果、産科ケアを受けるために行く場所がない女性が多いということがわかりました。MSFのジュード・アン病院では、最も多い時には一月あたり1600人の新生児を取り上げており、このうち半数近くが母子にとって命の危険がある状態でした。」

MSFは、首都ポルトープランスが暴力的事態に陥り、住民が医療を十分に受けられない状態になった時期に緊急ケアの提供を始めた。現在、治安状況は改善したものの、弱い立場にある住民の医療上のニーズは大部分において応えられないままである。

MSFはハイチで実施している緊急医療プログラムに年間1300万ユーロ(約17億1730円)を投じている。MSFの産科病院は現在ポルトープランス市内の女性に対する産科救急ケアの40%を担っている。一方でMSFのトリニテ病院は2008年に1万7950例近くの外傷を治療したほか、ハイチで唯一適切な「火傷外来」を持っている。同様に、2008年には公共の医療サービスがないマルティッサン・スラムにあるMSFの病院で治療した患者数は、1万6950人に上った。

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