携帯電話やインターネットをめぐるよりよい環境をつくるための民間団体「安心ネットづくり促進協議会」(会長・鷲田清一大阪大学長)の設立記念シンポジウムが3日、東京都内で開かれ、およそ800人が参加した。
第1部のパネルディスカッションでは、中高大学生や学校関係者らが、ケータイやネットを賢く安全に安心して使いこなすにはどうしたらよいか議論を交わした。また第2部では、昨年86歳にして初めてケータイ小説を執筆した作家の瀬戸内寂聴さんが「ケータイの世界に入って見えたこと」と題して講演。「匿名で3カ月書き続けたが精神が若返った」とうれしそうに語った。
パネルディスカッションのテーマは「ケータイってホントに必要?」。▽西垣通・東京大大学院情報学環教授▽東京成徳中2年、井出百合子さん▽東京都立上野高校3年、佐々木芽衣子さん▽千葉大4年、柘植遼平さん▽東京都立上野高校教諭、能城茂雄さん▽インターネットユーザー協会代表理事で保護者代表として小寺信良さんが登壇、磯野彰彦・毎日新聞社デジタルメディア局長がコーディネーターを務めた。
中学や高校での実態、親子間の約束ごと、学校のすべき対応などについてそれぞれの立場から発言。「いまや文房具などと同じ感覚で、日常生活の道具になっている」「マナーや危険サイト・迷惑メールへの対処をきちんと教える必要がある」など、「禁止」より「教育」に比重をかける時代にきていることをうかがわせる意見が相次いだ。
第2部の講演では、瀬戸内さんがケータイ小説を書き始めた理由を「美男子を見ても胸がときめかなくなり老いを実感した。毎日ドキドキワクワク過ごすには、恋愛している時のように、何か秘密めいたものを持つのがいいと思った。匿名でケータイ小説を書いたが、反応がすぐ返ってきて面白かった」とちゃめっ気たっぷりに語ると会場は爆笑した。
鷲田会長が「子どもがケータイを使いたいと言ってきた場合の答え方」について参考意見を求めると、瀬戸内さんは「まずルールを決めてみては。一度はケータイ中毒にかかるかもしれない。教えるべきことはちゃんと教えないとダメ」とぴしゃりと答えた。【浜田和子】
2009年4月3日