北朝鮮:IAEA要員に退去通告 安保理議長声明に反発

2009年4月15日 7時51分 更新:4月15日 12時17分

寧辺の核関連施設
寧辺の核関連施設

 【ウィーン中尾卓司、ワシントン草野和彦】北朝鮮は14日、寧辺(ニョンビョン)核施設に駐在する米国の核無能力化作業チームと国際原子力機関(IAEA)の監視・検証要員に対し、退去するよう通告した。また北朝鮮はIAEAに対し▽協力の即時停止▽核施設の活動再開▽使用済み核燃料棒の再処理開始--の方針を伝えた。北朝鮮は、弾道ミサイル発射を非難する国連安保理議長声明への対抗措置を早くも具体化した。

 北朝鮮は既に核開発を巡る6カ国協議への不参加も表明しており、北朝鮮をいかに核無能力化プロセスに戻すのか、難題が各国に突きつけられている。

 IAEAと米政府関係者が明らかにした。

 IAEAによると、北朝鮮は、寧辺の核施設ですべての封印の解除と監視機器の撤去を求め、撤去作業が終わればIAEA監視要員の核施設立ち入りを認めないと伝えた。さらに監視要員にできる限り早く、北朝鮮を離れるよう要求した。

 外交筋によると、監視要員は早ければ16日にも北朝鮮国外に出る可能性がある。

 IAEA監視要員の役割は「査察」でなく、6カ国協議の合意に基づく監視・検証で、北朝鮮の立ち退き要求を拒んでまで駐在を続ける権限はない。

 北朝鮮が、IAEA要員に核施設立ち入りを禁じるのは昨秋以来。北朝鮮は6カ国協議の合意に反して、昨年9月から無能力化作業を中断し核施設を復旧させる動きに出たが、米国が10月に入って、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除したことから、無能力化作業を再開していた。

 6カ国協議では07年2月、初期段階措置として、寧辺の核施設の稼働停止・封印と、IAEAの監視・検証受け入れに合意した。

 寧辺の5000キロワット黒鉛減速炉から取り出した使用済み燃料棒を再処理すれば、核爆弾の原料となりうるプルトニウムを抽出できる。

 ◇寧辺の核施設

 5000キロワットの実験用黒鉛減速炉や核燃料再処理施設など核関連施設が集中する北朝鮮核開発の拠点。6カ国協議は第2段階措置として核関連3施設の無能力化で合意したが、核申告の検証方法を巡り米朝などが対立し、無能力化は進んでいない。

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