本日、夕刊当番のため会社に上がったところ(当番日をすっかり忘れていて遅刻しました。関係者のみなさま、迷惑をかけてすみません)、日本教育再生機構の機関誌「教育再生」の4月号が私の郵便受けに入っていました。この雑誌は再生機構のサポーターや地方教育関係者などに配布されるもので、発行部数は3500部とのことでした。ですので、あまりみなさんの目に触れることはないと思いますし、その中でちょっと興味をひかれた記事があったので、一部引用して紹介しようと考えました。
それは、「民主党政権で大丈夫か? われら若手議員がお答えします」と題した特別座談会で、長島昭久、笠浩史、鷲尾英一郎の3人の衆院議員が、再生機構理事長の八木秀次高崎経済大教授の質問に答える形をとっていました。この3人は民主党内の若手保守派なので、応援したい気持ちはありますが、民主党政権が誕生した後、果たして彼らの言うようにうまくいくのかどうかという疑問も禁じ得ませんでした。ともあれ、以下がその座談会から、私が特に興味を覚えた部分の引用です。
(前略)
八木氏 私は民主党政権でも外交、安全保障、経済、社会保障はさほど心配していませんが、教育や歴史認識、日本人の文化、精神性にかかわる分野については非常に危惧しています。自民党内の左派は利権左派だったり心情的リベラリストですが、民主党内の左派はマルクス・レーニン主義であり、職業左翼、本物の左翼市民活動家です。村山談話の制定過程を見れば分かるように、本物の左翼を抱えた政権は、本物の左翼が巧妙に工作します。彼らが政権を離れた後も残るようなものを仕込みます。
笠氏 日本国教育基本法案(阿比留注、教育基本法改正案に対する民主党の対案)をまとめたときに、主要メンバーの中に日教組出身の議員がいましたが、激しい議論の末に理解を得ることができました。きちっと説得していくことが大事です。
八木氏 略
鷲尾氏 (前略)八木先生が民主党政権を危惧していらっしゃるのは左翼による工作を受けやすいという理由ですが、確かに、われわれの知らないところで分からないところから意見が出て、INDEX(阿比留注、「民主党政策INDEX2008」。参考、私の08年10月15日のエントリ「なぜか外務省記者クラブで配布される民主党政策INDEX」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/755808/))に載ってしまうということは今でもあります。これは非常に怖いと思います。
笠氏 略
鷲尾氏 民主党は慰安婦問題を「解決」するという「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」をこの10年間ずっと提出し続けています(参考、私の07年3月15日のエントリ「慰安婦問題・こんな人を参院副議長になんかするから…」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/133974/)と同年3月27日のエントリ「突っ込みどころ満載の朝日夕刊と江の傭兵」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/141017/))。私も知ったのが遅かったのですが、今レールに乗っているものも含めて新たな枠組みをどう作るかを検討したいと思います。
笠氏 そのような問題に対して、民主党が政権を取ったときにどういう仕組みで意思決定していくのかは非常に重要だと思います。今までのように、ある日突然INDEXに載るということでは取り返しのつかないことになります。
鷲尾氏 略
長島氏 略
八木氏 民主党の危うい点を根本的に解決するには、日教組などの左派勢力との関係を清算するしかないのではないでしょうか。元山梨県教組委員長の輿石東参院議員会長は1月14日に、日教組の新春の会合でのあいさつで「教育の政治的中立はあり得ない」と、教育基本法や教育公務員特例法に反する発言をしました。「私も日教組とともに戦っていく。永遠に日教組の組合員であるという自負を持っている」とも言っています(参考、09年1月14日の私のエントリ「民主・輿石氏『教育の政治的中立などありえない』」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/872741/))。
笠氏 民主党の日本国教育基本法案にも政治的中立は明記されているですがね。
鷲尾氏 参院議員会長おひとりの考えでどうこうなるという話ではありませんから…。
長島氏 日教組という自分の縄張りで、組合員を鼓舞するために言ったんでしょうね。
笠氏 私は日教組を擁護するつもりは全くありませんが、地元で日教組の組合員と個人的に話していても「国旗・国歌の強制」といったイデオロギーを話題にする人はおらず、学校現場の現実的な問題点の改善の話ばかりです。日教組は力がなくなって、一部の人があせって過激な発言をしているんです。現場の先生たちは、特定の地域以外は現実主義者ですよ。
八木氏 略
鷲尾氏 略
長島氏 略
鷲尾氏 最後に保守層の皆さんにお願いがあるのですが、民主党だからといって自治労や日教組お抱えの議員とは限りません。私たちは自治労からも日教組からも推薦をもらっていません。そういう民主党議員もいると知っていただき、われわれが出す結果を見守っていただきたいと思います。(後略)
…さて、3人とも、輿石氏に対して突き放した姿勢をとっているのは歓迎しますが、この3人はみな衆院議員ですから、参院側とは空気が違う部分もあるのでしょうね。笠氏は「日教組は力がなくなって」と言っていますが、民主党の「次の内閣」には、副首相の輿石氏のほか、外相として鉢呂吉雄氏、子ども・男女共同参画担当相の神本美恵子氏と計3人もの日教組の組織内候補議員が入っており、本当にそんなに過小評価していていいのか。鳩山幹事長も「日教組の皆様方とともにこの国を担う覚悟」だと表明していますしね…。
鷲尾氏が「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」に警戒心を示すのも同感できるのですが、民主党で同法案を主導した本岡昭次元参院副議長は一昨年、朝日新聞のインタビューに「政権交代したら、真っ先にこの法案が実現するんですよ」と自信たっぷりでしたし、私自身、この座談会を読んでいて懸念を払拭するには至りませんでした。
ただ、民主党が政権を取った場合、こういう保守系の議員たちに頑張ってもらわないと、取り返しのつかないことになってしまいますから、心からエールを送りたいと思っています。この人たちが、最後の砦なんですから。
ラヂオプレスによると本日、北朝鮮の朝鮮中央放送・平壌放送は「わが国が参加する6者会談は、これ以上必要がなくなった。6者会談はその存在意義を取り返しのつかないほど喪失した。そのような会談に二度と絶対に参加しないであろうし、6者会談のいかなる合意にもこれ以上拘束されないであろう。わが方はやむなく核抑止力を一層強化せざるを得ない」などとする外務省声明を流しました。
北朝鮮の言葉の一つひとつに反応するのは、相手の術中に自ら陥るようなものなので、あまり相手にする気にはなれませんが、いずれにしろ北東アジアの緊張状況は当分続きそうです。そういう中で、北朝鮮の言い分にもっともだと頷き平身低頭し、好んで利用されるような政権だけは勘弁してほしいですね。
by koku
北朝鮮メディアはイヌとニワト…