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「間違ったことしてない」調書漏洩に有罪 被告、信念を強調

 「自分のしたことは、間違っていない」。奈良地裁で15日、判決が言い渡された医師宅放火殺人の調書漏洩事件。秘密漏示罪に問われた崎浜盛三被告(51)は、供述調書を見せた自身の行為が信念に基づいたものであることを再三、強調していた。一方、その信念を託されたはずのフリージャーナリスト、草薙厚子さん(44)。事件のもう一人の“主役”の姿は、傍聴席になかった。

 崎浜被告はこの日午後0時50分ごろ、これまでの公判と同様、弁護人らとともに奈良地裁に到着した。口を真一文字に結び、ダークスーツに白いシャツ、ネクタイ姿。弁護人席の前に設けられた被告人席に腰を下ろすと、落ち着かない様子で午後1時10分の開廷を待った。

 「被告人は前へ」。石川恭司裁判長に促され、証言台に進み出る。主文が言い渡された後、裁判長に一礼して被告人席に戻った。

 「『殺人者』というレッテルをはがしてあげたかった」。崎浜被告はこれまで繰り返し、自身が広汎性発達障害と診断した長男(19)への思いを口にしてきた。

 相手の感情をうまく読み取れないための対人関係の齟齬(そご)や、物事への強迫的なこだわりを特徴とする広汎性発達障害。崎浜被告は、父親を殺害しようとしながら父親不在の自宅に火を放った長男の行動の背景に、この障害があると考えた。「長男に、亡くなった3人への殺意はなかった」。だが長男の将来のために、そのことを世間に広く理解してもらおうとした行為は、草薙さんによる「僕はパパを殺すことに決めた」の出版につながった。

 調書の直接引用という意に反する形で出版され、逮捕・起訴までもされた崎浜被告。だが判決を目前にひかえた取材には、こう答えていた。

 「鑑定人として知った秘密を守ることより、1人の少年の人生を守る方が大切だという私の価値観は変わらない」

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