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週刊新潮が“誤報”認め、謝罪

 1987年に朝日新聞阪神支局が襲撃され記者2人が死傷した事件などをめぐり、「実行犯」を名乗る男性の告白手記を連載した週刊新潮が、早い地域で16日に発売する4月23日号で掲載の経緯を公表し、内容が誤りだったと認め、謝罪していることが15日、分かった。

 同誌は、男性が突然「自分は実行犯ではない」と証言を覆したとして、「手記が誤報であったことを率直に認め、お詫びする」とした。

 週刊誌がキャンペーン報道の内容を自ら否定するのは極めて異例。発行元の新潮社の責任を問う声が強まりそうだ。

 記事は「『週刊新潮』はこうして『ニセ実行犯』に騙された」と題し、早川清編集長の署名付きで10ページにわたって掲載。「最大の原因は、言うまでもなく、裏付け取材の不足にある」としたが、手記の内容については「『一点の捏造もなかった』ことは明記しておきたい」「『真実相当性がある』と判断し、手記を掲載した」と説明した。

 また早川編集長は「虚言をろうする証言者の本質を見抜く眼力がなかったことも、深く恥じ入る。雑誌ジャーナリズムへの信頼を傷つけてしまったことはざんきに堪えない」と反省を述べた。

 記事で明らかにした取材経緯によると、男性が2007年11月、服役中の刑務所から新潮社あてに手紙を書いたことからやりとりが始まり、昨年1月の面会で実行犯だと話した。今年1月4日に男性が出所した後、約200時間のやりとりを重ね一部の関係者とも接触したが、証拠となる物は見つからなかったという。

 週刊新潮は1月29日発売の2月5日号から、男性の「手記」を4回にわたって掲載。朝日新聞は検証記事で手記を「虚言」とし、同誌に訂正と謝罪を求めていた。

 ▼立教大の服部孝章教授(メディア法)話 告白手記は結果的に見れば、なかったことをあったように作った記事で、単純な誤報ではなく虚報だ。週刊新潮の編集部は「自分たちが被害者だ」という意識があって、誤報という言い方をしているのかもしれないが、一番の被害者は読者だ。プロのジャーナリストがそう簡単に引っ掛かってはいけない。周辺取材も不十分で、プロ意識が欠落していたのでは。男性がほかのメディアで「実行犯ではない」と証言を覆してから、誤りを認めるまでの時間も長すぎた。

 ▼ノンフィクション作家の佐野真一さんの話 週刊新潮は毒ギョーザを売ったのと同じだ。食品会社ならつぶれている。雑誌の看板であの手記を売ったのだから言い逃れはできない。こんな長文の釈明よりも、まず編集長らが責任を認めて辞任すべきだった。1回目の手記を載せた時点で危ない人物と分かったのに4回も続けたのは、組織の病巣であり危機管理ができていないということ。雑誌ジャーナリズムへの重大な背信行為だ。疑惑に踏み込んで報じるのが週刊誌の使命という主張は居直りと感じられ、思い上がりも甚だしい。読者が知りたいのは真実。絶対許さないだろう。

[ 2009年04月15日 11:52 ]

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