2009年4月15日9時51分
正副理事長のファミリー企業への「資産流出」が指摘されている財団法人・日本漢字能力検定協会(京都市)をめぐり、大久保浩副理事長が代表を務める「日本統計事務センター」(同)が、協会が著作権をもつ検定問題のデータをゲームソフト会社2社に提供し、ライセンス料の9割超を占める約6900万円を2年で得ていたことがわかった。協会には約700万円しか納めていなかった。弁護士らでつくる内部調査委員会は「ライセンス料の配分割合が適切でない」と指摘している。
協会関係者によると、センターがライセンス料を得ていたのは、任天堂のゲーム機「ニンテンドーDS」と「Wii」向けの漢字ゲームソフト。センターがソフト会社2社とライセンス使用契約を結び、協会の検定試験の過去問題や書籍教材などのデータを提供。DS向けソフトは06年9月から、Wii向けが07年12月から販売された。
民間調査会社エンターブレインの調査では、2社は計7本のソフトをこれまでに製作。いずれも「漢検協会公認」「公式ソフト」として販売され、累計販売数は約192万本に上るという。
内部調査委の報告書によると、ソフトの売り上げに応じて入るライセンス料は、ソフト会社からセンターに支払われ、うち1社は9割、残る1社は全額をセンターが確保。センターは協会に対し、1社分の1割のみを支払う契約を結んでいた。
2社からのライセンス料は、06年10月〜08年9月で計約7600万円に達するが、うちセンターが約6900万円を受け取り、協会に渡ったのは約700万円だったという。協会関係者は「協会とセンターの利益配分が適正でない。そもそも、協会がソフト会社とライセンス使用契約を直接結ぶべきだ」と指摘する。