2009年4月15日11時43分
【ワシントン=勝田敏彦】米ノースカロライナ州の不妊治療施設「シャーロット生殖内分泌アソシエイツ」は、21年前に保存された凍結精子を使った体外受精による出産に成功した、と発表した。この施設は出産にこぎつけた精子の凍結保存期間としては「世界最長記録」としている。
発表によると、出産したのはメロディー・ビブリスさん(33)。夫のクリスさん(39)は13歳のときに白血病とわかり、化学療法で不妊になる可能性があるため16歳だった87年に精子を凍結保存した。08年5月、夫婦は体外受精を決断し、今年3月4日に長女ステラちゃんが生まれた。クリスさんの白血病はここ20年ほど、症状がほぼ消えた「寛解」状態という。
白血病やがんの治療の前に男性患者の精子を凍結保存することは日本でも行われている。ただ、今回の体外受精に使われた顕微授精技術は、クリスさんが精子の凍結保存をした時点では実現していなかったという。