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2009年04月15日(水)

これにて終了

テーマ:フィギュアスケート
 こういうことでブログを更新するのはまったく本意ではないのだが。

 私が失礼なメールに対してはっきりと不快感をあらわにしたからだろう。家に帰ってメールソフトを開いたら、古くからのスケートファンの方々からの「同感です」という内容のメールが届いていた。
 古くからのスケートファン、と書いたが、もっと正確に書くと「特定の選手というよりもフィギュアスケートが好き」という人。昔はこんなにテレビでスケートが見られなかったから、NHK杯に出場する選手は有名無名を問わずしっかりと見ていた、というような人だ。

 でも中には驚くようなメールがあった。わざわざ「クレームではありません」という件名にして、どこに住んでいるか、自分の名前は誰かをちゃんと書いていて、とても丁寧な文章なのだ。でも、ものすごく失礼な内容で、そのことにご本人はまったく気づいていない。
 ああ、ファン心理の穴ぼこに入るってこういうことか、と思ったので抜粋して載せることにする。もちろんどこの誰かは書きませんので、送って下さった方はご理解ください。これが私の返信です。

 この方のメールには、まったく意味がわからないものがあった。

>私がわざわざメールしましたのは
>非難のメールがどのくらい届いたのかはわかりませんが
>今泉さんのあのエントリーに少し不安を覚えたからです。
>あの記事が煽る形になりませんか?
>更に騒ぐ人が出てきて事が大きくなって
>ニュースサイトなんかに載ってしまったら、
>それこそ浅田選手の耳に入るかもしれません。
>本来そんな人はファンではありませんが、自分のファンが
>他の人に迷惑をかけてると知ったら
>彼女は心を傷めるでしょう。

>私も2ちゃんねるはみませんが、あの動画サイトのコメント欄は
>たまに見る事にしてるのです。
>今どんなことになってるのか一応知っておこうと思って。
>フジのとくダネの一件はご存じですか?
>あの時も抗議と謝罪要求への盛り上がりようはすごかったのです。
>最初はそんな大人数ではなかったのにどんどん膨らんでいって今も
>悪口や誹謗中傷の嵐です。
>そして次のそんな機会を今か今かと待ち構えている人が大勢いるはずです。
>そんなときあんな風に攻撃してしまったら火に油だと思うのです。

 日本語なのにさっぱり意味がわからない文章を久しぶりに読んだ。私の文章が何を煽るのか。あの動画サイトとは。とくダネの一件とは。

 そしてこの方は私にこういうお願いをしてきたのだ。

>一度火がついてしまったら良心のある人が
>そんな事はやめましょう!と訴えても抑えることは不可能です。
>ですから多少のメールでしたら
>できるだけ無視してはいただくことはできませんか?
>腹だたしいとは思いますが、ほっとけば収まると思うのです。
>あとこれは、ずうずうしいお願いなのは承知なのですが
>「選手にもわたしにも失礼」の記事
>もう少し抑えめに書き直していただくことは難しいでしょうか?
>言ってらしゃることはもっともなのですけど
>ハラハラしてしまいました。
>今もあのコメント欄が暴走してないかと心配です。

 私はスケートおたくじゃない、と書いたとおり、どのサイトのどのコメント欄が暴走しているのか全く知らない。そしてそんなものをわざわざ時間を割いて読むほどヒマじゃないし興味が無い。
 それなのに、なんでわざわざ私が自分の文章を書き直す必要があるんだ? 「自分のファンが他の人に迷惑をかけてると知ったら彼女は心を傷めるでしょう」って、そういうことをしているのは誰だろう? 少なくとも私ではない。それなのに何故私が、他人の迷惑が浅田選手に知られないように自分の文章を修正しなければならないのだろう?

 この方はとても真剣で真面目で、真央ちゃんが好きで好きでたまらないのだ。だから気付かずに見ず知らずの他人(つまり私)に対して失礼なことをしてしまう。

 メールの最初にはこう書いてあった。

>最新記事の「選手にもわたしにも失礼」
>お怒りはごもっともだと思います。
>その前の浅田関連の記事をみれば
>フィギュアをある程度理解されているのがわかりますから。
>立場も偏ったものではないし、むしろ浅田ファンだと感じました。
>けれど今年はキムヨナあっぱれ!だったと。

 「お怒りはごもっとも」と書いているのにとても失礼だ。この文章の何が失礼なのか、普通はわかると思う。普通の基準が違うようだからはっきり書くが。

 私の書いたもののうち「浅田関連」しか見ていない。それで私を「浅田ファン」だと思い、仲間だと思ってこういう依頼をしてきたのだろう。
 私が書いたその他のブログや、スケート雑誌およびスケートサイトに書いた記事はおそらくまったく読んでいない。そういう人が初めてのメールで「フィギュアを『ある程度』理解されているのがわかります」と書いてくる神経が、私にはまったくわからない。

 私だって選手ではないから、自分がすべてわかっているとはもちろん思っていない。でも、私のスケートに対する理解が「ある程度」だというのなら、あなたはどの程度何を理解しているというのだろう。
 住んでいるおおよその場所と名前は書いてある。でももう一度問いたい。あなたは何様だ?

 こないだ書いた。「ひいきの引き倒し」と。

 あなたが浅田選手のことを好きで好きでたまらないのはわかった。もしあなたがフィギュアスケートというものに興味があるのだったら、他の選手を表面的に見て「浅田選手よりも上か下か」という短絡的な判断をするよりも、いろいろな選手の素晴らしいところを、成績や点数とは関係なく見てみたらどうだろうか。ジャッジとは関係なく私はここがいいと思う、と。どうせあなたも私もジャッジじゃないのだから。

 こないだテレビ朝日で放送された、国別対抗戦の告知番組を見た。みんなリラックスしてデザートを食べたりしていたが、他の選手をどう思うか、というところは真面目に話していた。例えば、カナダのロシェット選手の筋肉について、浅田選手や安藤選手がそれぞれに思うところを話したのだが、男子の織田選手までもが「トレーニングすると筋肉がつきすぎるからしてないって言ってました」とコメントしていた。
 みんなトップレベルのアスリートだし、ジュニアの頃から戦っているから、お互いのことはよくわかっている。このことと比べて、あなたの理解はどの程度なのだろう。

 どのレベルのどんな順位の選手であろうと「この選手はここがいいね」と見つけられるようになったならば、浅田選手のどこがすごいのか、非凡なのかが、今よりもずっとずっとわかるようになるはずだ。そして、同じ舞台で戦っている選手たちが、どれだけの努力をしてあの演技をしているか、選手同士がお互いをどう認め合っているかがわかるだろう。

 浅田選手がいかにすごいかを立証するために(わざわざそんなことをしなくたって、世界中の関係者が浅田選手のすごさはわかっていて、それでも勝てないことがあるということもわかっているんだけど)他の選手の粗さがしをしているような人には、リンクのトレースの上にキラキラと輝いている、その選手だけが持つ光なんか絶対に見えないのだろう。
 ものすごく残念だと思う。その光が見えないということは、浅田選手が持っている本当のスケートの力や光が見えていないということだから。順位とか得点とかとは全く別のところにあるんだけど。 

 この件についてのブログはこれにて終了とする。どこで何が暴走しようと知ったこっちゃない。
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2009年04月14日(火)

選手にも私にも失礼

テーマ:フィギュアスケート
 フィギュアファンという方からメールが届いていたのだが、ざっと読んで削除した。どこの誰だかわからない相手からの割にはとても失礼な文章だったからだ。言いたいことを一方的に書きなぐっただけ。
 会ったこともない人間にいきなりそういうメールを送りつけるような神経の持ち主の言うことに興味はない。そういう人に限って「テレビに出ている人は公人だから」とか言ったりするが、それは卑怯だ。相手が誰だろうと礼儀はあるだろう。

 このことは何度も書いているのだが、私は「マスコミ」ではない。私にメールを送ったことで「マスコミ」にモノを言ったつもりになっていたらそれは大きな勘違いだし、他の新聞、雑誌、テレビが取った取材方法などについて「あなた達マスコミは」と私に言われても筋違いだ。

 このメールやいくつかのブログに「フィギュアは終わった」という記述を見かけた。そう思うんだったらもう見なければいいんじゃないか。私は終わっただなんて思っていないからこれからも見るけれど。

 私にいくらメールを送っても、私は私の仕事を利用して、私の考えと違うことをアピールするような公私混同はしない。ジャッジでもないのに細かな点数の検証をするようなことはしない。そんなにヒマじゃないし。

 なんかいろんなことが書いてあったけれど「キム選手の演技はダブルアクセルが3回入っているジュニア並みの構成です」ってのをわざわざ私に書いてくるってのもなぁ。
 それに、シニア女子はダブルアクセルを3回入れてはいけない、というルールは無い。1つめは加点を狙ってイナバウアーから高くたっぷりと跳んだ。2つめはダブルアクセル+トリプルトゥループだったが、2つめのトリプルの方が明らかに高かった。ルールで認められていることの範囲で最大限に高得点を狙うことのどこが悪いのか。今回は確実に優勝することを狙っただけだ。

 自分の主観のみで根拠なく人を非難することを「中傷」という。この人は自分の考えが絶対的に正論だと思っていて、違う見方があることに思いが至らないから、結果的に選手を中傷してしまっている。
 世界選手権で優勝を争うような立場に立ったことはおろか、おそらくは滑ったこともない人が、どうして選手に対してこんな偉そうなことが言えるんだろう。いったい何様のつもりか。キム選手がどれだけの練習をこなしてあの舞台に立ち、演技をやっているか、考えたことも無いのだろう。本当に失礼だ。

 こういうことを書くとまた「キムヨナ擁護」みたいなことになるんだろうな。あぁくだらない。私は「キムオタ」でも「マオタ」でも、ついでにいえば「スケートおたく」でもない。どれとも一緒にしないでもらいたい。

 2人の選手に対する私の思いは、こないだも書いたがこのことに尽きる。

 キム・ヨナ選手はスケーターとして完成の域に近づいている。浅田選手は今の時点でまだ、どんなスケーターになるのかわからない。

 あれやこれやと騒いでいる人には、私が何を思っているのかきっとわからないんだろうな。残念なことだ。

2009年04月12日(日)

石和温泉にやってきた

テーマ:ブログ
 早起きしてまた温泉に入り、すっきりしたところで朝ごはん。

 やっぱりアジの開きに厚焼き卵に味付け海苔、みたいな内容ではなかった。

きょうのいまいずみ ~アナ話~-090412-01

 ふきのとう味噌や筍の煮物など、手間のかかったものがちょっとずつ。若い人には物足りないんだろうけれど、おいしくてごはんを2杯半食べた。
 
 宿を出て松本駅に戻った。当初の予定では韮崎に戻って、樹齢2千年の日本最古の桜を見るつもりだったのだが、松本城の桜がとてもキレイだったので、なんかもう桜はいいかな、という気になってしまった。

 昨日松本に向かう電車の窓から、ところどころ山肌が濃いピンクに染まっているのが見えた。桜じゃなくて桃の花だ。
 昔「ズームイン!朝」をやっていたとき、山梨放送の中継で、あたり一面に桃の花が咲き乱れる様子を見た。一度ホンモノを見てみたいと思ったことを、昨日になって思い出したのだ。

 ネットで調べてみたら、大体石和温泉辺りに行くといいらしい。さらに調べると「ももの里温泉」という日帰り温泉があるのがわかった。桃の花が見られて温泉にも入れたらラッキーだと思ってここに行くことにした。

 駅についてタクシーに乗り(周回バスもあったのだが時間が合わなかった)運転手さんに「ももの里温泉に行きたいんですが、もし途中で桃の花がたくさん見られるところがあったら寄ってください」とお願いした。すると運転手さんは「今年はあったかいから花が早くて、麓の花は散っちゃったんですよ。これから行く温泉は車で15分ぐらいかかりますけど高いところにあるんで、ちょうど花が咲いてます」と言うではないか。適当に決めたのにどんぴしゃの場所であった。

 坂道を登るにつれて、山の向こうがピンク色に染まっているのが見えてきた。そして温泉は、桃の木の畑の隣にあった。辺りは桃の花だらけだ。
 桃の花も気になったがひとまず温泉に入り、汗をかいたところで休憩所でビールを飲んだ。きょうはマラソン大会があったとかでとても混んでいて、豚キムチを頼んだが時間がかかると言われた。早く出るのは何かと尋ねたら「うーん、やっことか」というのでとりあえず先に冷奴を食べながら飲んでいたのだが、しばらくして男性がやってきて「すみません、レディス4の方ですか?」と声をかけられた。
 そういえば山梨でも放送されているんだった。そうです、と返事をすると奥さんも近づいてきて「やっぱり、そうだと思ったわ、やだテレビに出てる人ナマで見るの初めて~」と言われた。

 こういうときに限って冷奴にビールというやっすーい組み合わせだったりするんだよねぇ。まぁどのみち豚キムチだったけど。ちなみにここの温泉のお湯は買える。
きょうのいまいずみ ~アナ話~-090412-07

 外に出て、桃畑を歩いてみた。近くで見ると桃の花は本当に色鮮やかだ。

きょうのいまいずみ ~アナ話~-090412-06

きょうのいまいずみ ~アナ話~-090412-05

 桃の木は、きっと収穫のためだと思うが枝が横に張っている。だから咲き誇ると一面がピンクに染まる。手前だけじゃなく、奥の山の中腹までずーっとピンクだ。

きょうのいまいずみ ~アナ話~-090412-04

 ふと見上げると男の人が長いハタキのようなもので花を撫でていた。写真を撮っていいですか、と断ったついでに「授粉ですか?」と聞いてみた。

きょうのいまいずみ ~アナ話~-090412-03

 桃の花が咲いているのは10日ぐらい。その間の、晴れていて風が強くない日を選んで授粉作業をするのだそうだ。私たちが「わーきれい」などと言っているとき、農家の皆さんは大忙しということ。

 受付の方にも「見てますよー」なんて言われながら温泉をあとにして、石和温泉駅に戻った。駅前の土産物屋で甲州ワインの試飲をやっていたのであれこれ飲み、ものすごくぶどうの味がするものを2本買って帰ってきた。

 二日ともいい天気だったし、思いつきの割には楽しかったし、行ってみて良かった。たまにはリフレッシュしないとな。

2009年04月11日(土)

松本にやってきた

テーマ:ブログ
 金曜日の「レディス4」で山梨の桜の特集を放送したのだが、見ていたらなんだか旅に出かけたくなった。天気が良さそうだし、久しぶりに週末は予定が無いし、このところひとり温泉もやってないし。

 というわけでまずは山梨を目的地として金曜の夜にネットで宿を検索したのだが、やはり週末なので適当なのが見当たらなかった。
 平日だと一人でも泊めてくれる宿が増えたけれど、週末はなかなか難しい。私は1泊2食付きで、食事が部屋でいただける温泉旅館が好きなので、なおさら難しくなるのだ。

 ざっくりと範囲を広げて検索した結果、なぜか山梨を通り過ぎて長野県の松本までやってきてしまった。長野市には何度か行っているが、松本は初めてだ。
 東京から松本まで、車窓から見上げた空にはずーっと雲ひとつなく、本当にいいお天気。

 松本について何も調べずに来てしまったが、松本といえば松本城だろう。行ってみたらちょうど桜が満開で、大勢の観光客がいた。

きょうのいまいずみ ~アナ話~-090411-02

 なんと美しい景色。せっかくなので天守閣に登ってみたが、中で長い行列ができてなかなか先に進めなかった。途中にものすごく急な階段があって、そこを過ぎたら急に流れが良くなった。交通渋滞の原理ってあんな感じなんだな。

 ちょっと市街をうろついてからバスに乗って宿へ。きょうの宿は「女将が山で採ってくる山菜が目玉」という旅館だったが、着いてみたらやっているのは初老の夫婦で、部屋にはトイレも冷蔵庫も無く、隣との壁も薄くて民宿に毛が生えたような感じ。でもまぁ食べて寝られりゃ別にいい。

 例によって温泉にゆっくりつかってたっぷり汗をかいて部屋に戻った。夕食は本当に山の幸ばかりでもちろん刺身なんて無い。

きょうのいまいずみ ~アナ話~-090411-03

 焼き物以外は全部手がかけられたものだったが、珍しかったのは山で採ってきたという小さなふきのとうのおひたしと、野甘草の和えもの。

きょうのいまいずみ ~アナ話~-090411-01

 ニジマスの甘露煮は一度酢で煮たそうで骨まで軟らかい。蒸し物は山芋ときのこの餡かけだったが、山芋もこの辺りで採れたものだそうだ。
 地味といえば地味だけれど、滋味たっぷりという感じで全部おいしくいただいた。やっぱり料理って、おいしく食べてもらおうという気持ちが大事なんだなぁ。

 明日は山梨の桜を見に行くつもりだったが、きょうたっぷり桜を見たので予定を変更することにした。どうなることやら。




2009年04月11日(土)

遼くんと真央ちゃん

テーマ:フィギュアスケート
 石川遼くんがマスターズ初挑戦で予選落ちした。

 私はゴルフのことはわからないし、正直言ってあまり興味も無い。あくまでもテレビでちょっとだけ見た範囲だが、このコースはただものではないことぐらいはわかった。なんでカップと違う方向に打つんだろうと思うと、グリーンに載ったボールが逆戻りしたりしてカップの方に転がっていったりする。
 10センチずれたら全然違う結果になってしまう。そういうコースなんだろう。

 たくさんの人に注目され、期待され、たくさんのCMに出て、もはや自分のことは自分一人では決められなくなっている。そんな十代のスポーツ選手は、日本では遼くんと浅田真央選手ぐらいだろう。

 ゴルフは競技とは別に、趣味で楽しむ人も多い。そんなたくさんの人に加えて、ゴルフはよくわからないけれど遼くんは好き、という人までが彼を応援している。応援している人たちは、今すぐに世界のトッププレーヤーになることを期待していない。彼の成長を見守る立場で応援している。

 それと同じ気持ちで、私は浅田選手を応援している。小学生で全日本に出場したのをテレビで観て以来ずっとだ。浅田選手が五輪で金メダルを得るところをいつか見てみたいけれど、出場するすべての試合に勝って欲しいとか、常にワールドスタンディングの1番でいて欲しいとは思っていない。

 Sports@niftyの、ニコライ・モロゾフの発言についての記事の中に「スケートファンならば、根拠のない噂を元に、いつまでも行きすぎた議論を続けていたくはないし、他国の選手やライバル選手への中傷を繰り返したくはない」という文章があった。

 私は2ちゃんねるは見ない。以前「スケート」というところを見たら、スレッドのタイトルを読んだだけで、使われている日本語の醜さに反吐が出る思いがしたからだ。中を丹念に読めば、たまには真摯で選手を尊重する書き込みもあるのだろうけれど、ひどすぎて探す気にもなれない。
 なので、ファンの噂も中傷も知らないのだけれど、記事のトラックバックやこのブログのアクセス解析をたどったりして、いくつかのブログと、それに寄せられたコメントを読んでみた。

 正直な感想としては、浅田選手を応援しているのはわかるが、ちょっとひいきの引き倒しになってるんじゃないかと思った。
 多くの人が挙げているのが「キム・ヨナ選手が試合前に、日本選手に練習を妨害されたと報じられたこと」と「キム・ヨナ選手の得点が高すぎる」という点だった。

 以下は私個人の感想だが。

 キム選手が韓国のテレビ局に何を言い、それがどう報じられたか私は詳しくは知らない。そして興味がない。「公式練習中に他の選手の邪魔をする」だなんてあり得ないからだ。ただでさえ時間が限られている公式練習の間にそんなことをしていたら、自分の練習ができない。そして国際大会に出場するクラスの日本選手に、そのようなレベルの低い選手はいない。
 スケート連盟がわざわざ公式サイトに見解を載せていたが、それは問い合わせや抗議があったからで、関係者や選手たちはバカバカしいので気にも留めていないだろう。騒ぐだけ時間の無駄だ。

 キム選手の得点が高いという点だが、トリノ五輪のプルシェンコの得点と比較して「あり得ない」というような書き込みを目にしてものすごく驚いた。そういう比較こそがあり得ないからだ。

 採点法が変わってしばらくは、その選手にとっての最高得点だった場合は「パーソナルベスト」という言い方をしていたが、今は「シーズンベスト」に変わった。ルールがシーズンごとに変わるので比較ができなくなったからだ。トリノ五輪で男子の選手が出した得点よりも高いからといって、その得点がおかしいとは限らない。
 そもそも、フィギュアスケートはずっと「何点をとったか」ではなく「何番目にいい演技だったか」を競う競技だった。今でもプログラムコンポーネンツについてはそういう部分が残っていると思っている。

 今回、PCSの全ての項目でキム選手がすば抜けて高い得点を出した。スピードは最後まで衰えなかったし、後半は演技ではなく心からの笑顔で滑っていたし、音楽も緩急がはっきりして解釈しやすいものを選んでいた。点数が出しやすい演技だったのは間違いない。
 特に浅田選手と違うのはスピードだ。ジャンプに入る前でもまったく速度を落とさない。だからあれだけ高さと幅のあるジャンプが跳べるし、演技全体の印象が上がる。得点については「ずいぶん出たな」とは感じたが、別にあり得ないとは思わない。「差がある1位」とジャッジが感じたということで、それはそう思うから。

 浅田選手はスピードよりはタイミングでジャンプを跳ぶ。それでトリプルアクセルが跳べるのがすごいところなのだが、スピードが落ちると回転不足になりやすい。
 今回は後半に向けてスピードが落ちて、休みなく続く要素に追われるような演技になってしまい、結果的にスパイラルやステップでもレベルを落としてしまった。でもとても難しい内容の演技だったから、悲観はしていない。そういうときもあるだろう。

 残念だったのは、キム選手の演技を認めないとか、なんとも思わないとかいう書き込みが目立ったこと。曲のつなぎが嫌いだとか。誰だって演技に好き嫌いはあるだろうが、それってわざわざブログに書かなければならないことだろうか。ブログだったら何でもありなのかな。
 浅田選手とキム選手はお互いを認め合っている。他の誰かが認めようと認めまいと2人には関係がない。

 ひとつ考えて欲しいのは、自分の書き込みを浅田選手が読んだらどう思うだろう、ということ。内容が浅田選手に関するものでもキム選手に関するものでもだ。浅田選手はいつだって、その気になれば誰のブログでも読める。そのことを自覚している人がどれだけいるだろうか。

 遼くんにも真央ちゃんにも、いろいろな立場の人が様々な期待をしているけれど、私は選手の負担にならない応援をしていきたい。当たり前だが、2人は私のために生きているのではなく、自分の人生を生きているのだから。

2009年04月05日(日)

浅田選手のこと

テーマ:フィギュアスケート
 四大陸選手権のキム・ヨナ選手のショートは、気持ちの良い素晴らしい演技だった。フリーはあえて苦手なトリプルループに挑戦し転倒してしまったが、世界選手権では構成を変えてくるだろう。だとすれば、ショートをノーミスで終えて、フリーで後半のトリプルルッツを決めたら、キム・ヨナ選手が優勝するんじゃないかと思った。もちろん浅田選手がショート・フリーともにノーミスだったらわからない。

 とはいえ、今年の世界選手権については、スケート好きの友人には「誰が勝っても別にいい、出場枠が取れて、それぞれが来年につながる演技をしてくれたら」と始まる前から言っていた。浅田選手は別に優勝しなくてもいいと本当に思っていた。

 本人はそれを目指すだろうし周りも期待するだろうけれど、今シーズンのプログラムは試合で確実に勝つためのものではない。言ってみれば大リーグボール養成ギプスのような内容だ。あれもこれもとてんこ盛りだし、休む場所が無い。それにトリプルアクセルを2度入れるというのだからとんでもない。

 タラソワコーチは五輪の前年だからこんなプログラムを作ったのだろう。前年にこれだけのことをやっておけば、来シーズンはゆとりを持ってプログラムを作ることができる。五輪で金メダルを取ることがどういうことか、タチアナ・タラソワはよくわかっている。五輪で金メダルを取るために、前年の世界選手権に優勝する必要はないのだ。

 とはいえ、シーズンを通して、浅田選手は結局不安を抱えたままだったような気がする。ルッツが跳べるか、トリプルアクセルが2度決まるか、大体にしてこれだけの内容が滑りきれるか。いくら浅田選手でも容量オーバーだっただろう。ましてやコーチがタラソワに決まったと発表されたのは6月の終わりだった。世界選手権の前からコーチ不在だったのだから、時間は当然足りなかった。

 試合を見終わった友人からメールが来たので「真央ちゃんもタラソワもこれでスイッチが入ったと思う」と送ったら「ポジティブだー」と返ってきた。でも本当にそう思う。表彰台に立てなかった理由ははっきりしているので、もう同じことを繰り返すことはない。ひょっとしたらコーチが替わることになる可能性もあるが、それも含めて本番は来年なのだし。

 キム・ヨナ選手は、表彰台のいちばん上に立つためにこつこつとやってきたことが、ようやくこの大会で実った。ショートは文句のつけようのない出来だったし、フリーもトリプルループをイナバウアーからの高く流れのあるダブルアクセルに替えて加点をもらった。基礎点3.5に1.8が加わって5.3。トリプルループの基礎点5.0を上回った。

 テレビで観ていても、スケートが滑っていて本人も心から演技しているのがわかった。優勝がかかっている状況のフリーで、ようやく自分らしい演技ができた。得点、特に表現の点数が高すぎるという声もあるようだが、ジャッジが迷いなく得点が出せる演技をしていたと思う。
 9点台を出すジャッジが複数いたということは、ルールで決められている技術要素をこなした上で、このぐらいまでやれば出る可能性があるということだ。芸術分野の点数は、過去の試合のどれと比べて高い低いと言えるものではない。

 フィギュアスケートは昔からそういう競技だ。この採点が高すぎるということになれば、今後の試合で修正されていくだろう。
 大事なのは、その日の1回の演技で、どれだけ人の心を掴んだか、というところ。今回は、キム選手も安藤選手も多くの人の心を掴んだが、浅田選手は残念ながらいつもよりも掴めなかっただけだ。それは浅田選手のファンもわかるんじゃないだろうか。それに、この評価が一生続くわけじゃない。

 キム・ヨナ選手は、現在のルールにおいての女子の演技としては、バランスのとれたかなりレベルの高い内容をこなしている。優勝が決まったあと、地元テレビ局のインタビューに頑張って英語で答えているのを見て、本当に努力しているんだなと感心した。

 キム・ヨナ選手が頑張ってやっている、妖艶な表情やメイクといった部分を、これまでの浅田選手のコーチは一切させていない。もちろん浅田選手の個性に合わないということもあるだろうが、彼女自身からどんな表現が出てくるのか待っているのだと思う。
 どちらがいい悪いの話ではない。それが個性というものだから。

 来年の五輪は、浅田選手にとってもキム・ヨナ選手にとっても、最後の五輪ではない。キム・ヨナ選手はほぼ完成に近付いている。浅田選手は、いったいどんな選手になるのだろうか。
2009年04月02日(木)

織田選手のこと

テーマ:フィギュアスケート
 フィギュアスケートのルールは毎年ちょっとずつ変わっていて、コーチも選手も対応するのは大変だと思う。

 とはいえ。今回の織田選手のコンビネーションジャンプの飛び過ぎはとても残念だった。1年のブランクがあったこと、4回転のコンビネーションを降りたこと、その他もろもろを含めても、もうこういうミスをやってはいけないレベルの選手だと思う。

 シニア男子フリーでは8回ジャンプが跳べる。そしてそのうち3回はコンビネーションまたはシークエンスにすることができる。
 そのこととは別に、トリプルジャンプの種類と回数には制限がある。同じ種類のトリプルは2度までしか跳ぶことができず、しかもうち1回はコンビネーションかシークエンスにしなければならない。もし2度とも単発になった場合は、ジャンプの点数はもらえるが2度目のジャンプがコンビネーション扱いになる。前述の「3つのコンビネーション」のうちのひとつと数えられるのだ。

 織田選手は今シーズン初めて、最初の4トゥループ+3トゥループを降りた。すべてのジャッジからプラスの評価を得て、基礎点13.80に1.40が足されて15.20。これは、今大会の男子フリーで、ひとつの要素に与えられた点数としては最高のものだ。
 素晴らしいジャンプだったし、それが世界選手権で決められたというのはとても大きなことだ。しかし次のトリプルアクセルは、コンビネーションの予定が、オーバーターンして単発になってしまった。

 コンビネーションがひとつ抜けたと思ったからだろう。織田選手は、次に予定していたトリプルサルコウに、トリプルトゥループを急遽くっつけてしまった。
 J Sportsで生放送を見ていたので、この3サルコウ+3トゥループをやったときに「あーあ」と思った。以前にも、前半のサルコウにうっかりトゥループをくっつける失敗をしているからだ。
 
 もしトリプルアクセルが明らかに回転不足(きれいな2回転半になってしまったとか)であれば問題は無かったが、この時点では3回転半を認定されるかどうかはわからなかった。演技の後半にもう一度トリプルアクセルを予定していたから、この時点で織田選手がで考えるべきことは、二度目のトリプルアクセルをコンビネーションにすることだったはずだ。なのに、トリプルサルコウという易しいジャンプでコンビネーションの無駄遣いをしてしまった。
 2度目のトリプルアクセルは素晴らしい出来だったが、コンビネーションをつける様子はまったく見られなかった。すべてのジャッジがプラスをつけたあのランディングなら、織田選手であればダブルは付けられただろうし、トリプルも跳べたかもしれない。とにかく、サルコウをコンビネーションにしている場合ではなかったのだ。

 そしてその後、予定していた3フリップ+2トゥループ+2ループを跳んでしまった。これでコンビネーションは4つめになるので、この要素はカウントされず0点になってしまう。8回跳べるジャンプのうちの1回が無効になってしまった。

 私は「たら、れば」が嫌いなのでめったにやらないのだが、試しに計算してみた。ジャンプひとつひとつの得点は、そのジャンプについてあらかじめ決まっている点数(基礎点)に、ジャッジの評価(GOE)を加味して決まるが、ややこしいので基礎点だけで比べてみることにする。
 織田選手の今回のフリーのうち、ジャンプの要素の基礎点を足すと53.67になる。これを、3つめのジャンプは単発の3サルコウを跳び、後半の3アクセルは2トゥループとのコンビネーションを跳んだとして計算してみた。この場合はもちろん、後半の3フリップ+2トゥループ+2ループが認められることになる。

 計算が間違っていたら申し訳ないのだが、基礎点は62.94になった。実に10点近く損をしていることになる。そしてこの点数には出来栄えは加算していないから、実際に損をした点数は10点以上になるだろう。

 織田選手の合計得点に10点を足すと5位になる。順位としては2つ上がるだけだ。でも、7位と5位は全然違う。

 ……ということを、今大会織田選手は心底思い知ったはずだ。もう二度とこんな失敗はしたくないはずだし、コーチもさせないだろう。オリンピックイヤーでなくて良かったし、とにかく、ギリギリで3枠が取れて良かったと思う。もし織田選手が8位だったら2枠になっていたのだから。

 ところで織田選手に続いて8位になったカザフスタンのデニス・テン選手のフリーはすごかった。地上波では放送されなかったのだが、まだ15歳で顔もあどけないのに、いきなり3アクセル+3トゥループをきれいに降りたと思ったら(このジャンプの評価はジュベールより高かった)二度目のトリプルアクセルをはじめすべてのジャンプを降りただけではなく、ドーナツスピンやビールマンスピンまでやって観客を魅了した。どこの誰かもわからない選手なのに客席は総立ちとなり、本人は感極まって氷にキスをして、ありがとうとでもいうようにトンと氷を叩いた。
 ショートは放送されなかったから見ていないが17位。しかしフリーはなんと6位で総合8位となった。いかにフリーが大事かというのがよくわかる。

 いろんな意味でJ Sportsと契約して良かったな。演技に没頭できてストレスが無い。何か言うとすれば、樋口先生の話が聞きたいからもうちょっとはっきり喋って欲しいというぐらいなのだけれど、きっとスタジオでヘッドホンをしながら喋っているのだろうから難しいんだろうな。だから別にいいです。
2009年03月01日(日)

報道のこと

テーマ:ブログ
 「チャンネルはそのまま!」(佐々木倫子/小学館)は、北海道のテレビ局の報道部に配属された雪丸花子が、配属初日の昼ニュースで、なぜか中継をやる羽目になるところから物語がスタートする。

 普通そんなことはまず無いが、まったく無いとも言い切れないのが報道の現場だ。フジテレビの開局50周年特番を見ていたのだが、あの御巣鷹山日航機墜落事件の現場で、生存者の発見をいち早く生中継で伝えた記者は、それまでに行ったのは中古車フェアの取材だけという新人記者だったのだそうだ。何もわからないから、ただ言われるままにやっていたら、信じられないような奇跡が続いてスクープにつながった。

 思えば私も、報道部配属初日で大事件の現場に行くことになりそうだったのだ。忘れもしない91年6月3日。春から噴火を続けていた雲仙普賢岳で、大火砕流が起こった。火砕流は真下にいた報道関係者や消防団員や警察官、さらには取材に同行していたタクシーの運転手などを巻き込み、死者・行方不明者は43人にのぼった。

 いちばん近い系列局である福岡からも、すぐに応援の記者が現地へと向かった。夜になって被害の大きさが明らかになるにつれ、さらに応援の記者を派遣することになって「おい新人一人行くぞ」ということになった、のだそうだ。
 なぜ伝聞の形かというと、私はちょうどトイレに行っていてその場にいなかったからだ。

 トイレから戻ると何やら部屋がバタバタしていて、私は慌てて同期のアナウンサーに「どうしたの?」と尋ねた。彼女は「どこ行ってたのー? 新人も行くって話になって、じゃあ五十音順で今泉ってことになったんだけどいないから、結局大鶴くんが行くことになったんだよ」と言った。

 残念な思いが半分、申し訳ない思いが半分であった。行ってみたいけれど、言葉も地理もわからないし、重いものが持てるわけでもないし、きっと何もできなかっただろう。大鶴くんは2日ほどで戻ってきたが、やはり「なんもできんやった」と言っていた。

 それから5年後の96年6月13日。「ズームイン!朝」の中継を終えて、取材のため新幹線で小倉へと向かい、先に行っていたスタッフと駅で合流したところで「すぐ戻ってください」と言われた。福岡空港でガルーダ・インドネシア航空機が離陸に失敗しオーバーランするという大事故が起きていた。
 すぐに新幹線で戻り、あとは夕方ニュースが無事に終わるまで、乗客名簿を整理する作業に追われた。みんな外に出ていて、次々に映像や原稿を送ってくるので、こういうときは中で情報を整理する人間がいないと回らない。

 やっと夕方ニュースが終わってひと息ついたと思ったら、制作のスタッフが「これからトメさんが福岡に来て、明日のズームインは福岡空港から特番です」と言われてひっくり返った。また一からVTRをまとめなければならない。しかも全編福岡からの中継だ。
 夜中、必死に編集するディレクターの後ろで、一緒に映像を選びながら同時進行で原稿を書いていたら、あっという間に朝になってしまった。昨日の朝4時から一睡もしていない。

 私は先に現場に行かなければならないので、社を出て空港近くの中継現場に向かい、草むらの中にしゃがんで、薄暗い朝日の下で原稿をまとめた。トメさんはなんだかんだいっても頼りになる人で、私はなんとか1時間半を乗り切った。そして結局、まる2日一睡もしなかった。5年経って、ようやくこういうことができるようになったわけだ。

 もちろんその頃は、5年後に自分が東京でニュースキャスターをやっていて、9月11日に旅客機がニューヨークのビルに突っ込み、それから3か月間、ひたすらにテロについて伝え続けることになるだなんて、考えてもいなかった。自分がこの目でちゃんと見たわけでもないし、ましてやいったい世界に何が起こっているのかもわからないのに、洪水のように溢れる情報を、ただただ必死に伝え続けるしかなかった。

 その番組が終わったとき、私はワイドショーではなく「はなまるマーケット」がやりたいと思ったのだ。そのことはこないだ書いたけれど。

 その日ニュースが伝える事件と、その日自分が食べる晩御飯のメニューに、優劣はないと思っている。むしろ、事件は関係のないことだから、大事なのは晩御飯のメニューという方が普通だろう。だから私は、ここ数年、局は違えど生活情報番組をやれていることについてはありがたく思っている。

 でも、きょうの特番を見ていて、報道という仕事にたくさんのことを教えてもらったなぁとしみじみ思った。今の私があるのは報道のおかげだ。そのことがわかるのは、報道とは真逆に見える生活情報番組をやることができたからだということにも気付いた。

 なんだか長くなってしまったが、結局私にできることは、そこがどこでも、きょう伝えたいことが伝わるように働くことだな。そこだけはずっと変わらない。
2009年02月20日(金)

「ラブレター」と手話

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 きょうが最終回だった「ラブレター」という昼ドラは、主人公の美波が耳が聞こえない設定だったので、主要な会話はほとんど手話だった(いつも最初しか見られないので録画して見ていた)。
 最終回のクライマックスは、ずっと好きだった海司から、ガラス越しに手話でプロポーズされるシーンだった。

 ひと月ほど前のことだ。バスに乗ろうとしたら、バスの外の後ろの方で、制服を着た男子高生が、バスの窓にへばりつくようにして何かをしていた。乗るんじゃないのかな、と思いながらバスに乗り後ろの席に座ったら、制服を着た女子高生がやはり窓にへばりつくようにして何かをしていた。改めて見てわかった。

 2人は手話で会話をしていたのだ。

 高校生の、きっと恋人同士が手話で会話するのを初めて見た。ガラス越しに、表情豊かにいろいろな話をしていた(どんな話かはわからないが)。それがとても素敵な光景だったので、私はちょっとうらやましく思った。

 このブログにコメントがつけられたら、きっと「耳が不自由な人がうらやましいなんて!」みたいなコメントがついて、好き勝手に炎上するんだろうなぁ。くだらない。

 手話は決してかわいそうな言語ではない。音で意味が伝わらない分、動作と表情で会話をするから、薄っぺらい言葉よりもずっとずっと気持ちが伝わるだろうし、嘘がつけない言語だと思う。あの若い二人を見ていて改めてそう思った。
 「ラブレター」というドラマも、手話という言葉にちゃんと向き合っていた。手話っていいなぁと思った人がきっといたと思う。

 ユネスコの調査によると、日本ではアイヌ語を筆頭に8つの地域の言葉が消滅の危機にさらされているそうだ。
 言語に優劣はない。その土地で、その環境で暮らす人が、自分の伝えたいことをいちばん伝えられることが言語にとっていちばん大事なことだ。

 「ラブレター」は、愛の劇場40周年記念ということでとても力が入っていて、とてもいいドラマになっていた。出てくる人が、それぞれに葛藤は抱えながらもみんないい人で、温かい気持ちになれるものだった。
 そして愛の劇場は、局の経費削減によって次の「大好き!五つ子」が最後になる。現場で頑張ってきたスタッフはどんな思いなんだろうか。なんとも切ないなぁ。

2009年02月19日(木)

何やってんだか

テーマ:ブログ
 出かける前に「ピンポン」を見ていたら、小泉さんが「衆議院で補正予算の再議決をやるなら欠席する」と明言したことについて、あーでもないこーでもないといろんな話が出ていた。

 私はものすごく単純な話だと思う。次の選挙で息子を勝たせたいだけだ。

 このまま選挙を戦ったら、いくら小泉の息子でも実績が無いから負けるかもしれない。だから、私は違うと世間に向けて改めて言わなければならない。
 舛添さんが「言うならもっと早く言うべきだった。too late(なんでここだけ英語なんだか)ですよ」と言っていたが、ここまで麻生政権がダメになったから今言わざるを得なくなっただけなのであって、小泉さんはたぶん、その後の政界再編などには別に興味はないだろう。だから懲罰覚悟なのだ。

 それにしても、小泉さんってこういう嗅覚はするどいなぁ。日本で話題作りをして注目させておいて、遠く離れたモスクワで確信的なことを言って、自分は今の政権とは違うという姿勢を見せる。目的が息子の当選だからまったく評価しないけれど。

 でもねぇ。小泉改革ってのは本人がおっしゃった通り「痛みをともなう改革」で、今その痛みがいろいろなところに出ているわけだ。それは今回のみぞゆうの、じゃなくて未曾有の経済危機が起こる前からのことだった。そんな中に経済危機が起きた。事態はひどくなる一方で、回復のきざしはまったく見えない。

 そんな危機的な状況なのに、会見で居眠りする大臣も、それをかばう総理大臣も本当に情けなく思うのだが、誰よりも、この状況を作った当事者が、国のためでも国民のためでもなく、ただただ自分の息子の当選のためだけにあれこれと動いているのって、もうどうしようもなく腹立たしい。何やってんだか。

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