2009年04月15日(水)

これにて終了

テーマ:フィギュアスケート
 こういうことでブログを更新するのはまったく本意ではないのだが。

 私が失礼なメールに対してはっきりと不快感をあらわにしたからだろう。家に帰ってメールソフトを開いたら、古くからのスケートファンの方々からの「同感です」という内容のメールが届いていた。
 古くからのスケートファン、と書いたが、もっと正確に書くと「特定の選手というよりもフィギュアスケートが好き」という人。昔はこんなにテレビでスケートが見られなかったから、NHK杯に出場する選手は有名無名を問わずしっかりと見ていた、というような人だ。

 でも中には驚くようなメールがあった。わざわざ「クレームではありません」という件名にして、どこに住んでいるか、自分の名前は誰かをちゃんと書いていて、とても丁寧な文章なのだ。でも、ものすごく失礼な内容で、そのことにご本人はまったく気づいていない。
 ああ、ファン心理の穴ぼこに入るってこういうことか、と思ったので抜粋して載せることにする。もちろんどこの誰かは書きませんので、送って下さった方はご理解ください。これが私の返信です。

 この方のメールには、まったく意味がわからないものがあった。

>私がわざわざメールしましたのは
>非難のメールがどのくらい届いたのかはわかりませんが
>今泉さんのあのエントリーに少し不安を覚えたからです。
>あの記事が煽る形になりませんか?
>更に騒ぐ人が出てきて事が大きくなって
>ニュースサイトなんかに載ってしまったら、
>それこそ浅田選手の耳に入るかもしれません。
>本来そんな人はファンではありませんが、自分のファンが
>他の人に迷惑をかけてると知ったら
>彼女は心を傷めるでしょう。

>私も2ちゃんねるはみませんが、あの動画サイトのコメント欄は
>たまに見る事にしてるのです。
>今どんなことになってるのか一応知っておこうと思って。
>フジのとくダネの一件はご存じですか?
>あの時も抗議と謝罪要求への盛り上がりようはすごかったのです。
>最初はそんな大人数ではなかったのにどんどん膨らんでいって今も
>悪口や誹謗中傷の嵐です。
>そして次のそんな機会を今か今かと待ち構えている人が大勢いるはずです。
>そんなときあんな風に攻撃してしまったら火に油だと思うのです。

 日本語なのにさっぱり意味がわからない文章を久しぶりに読んだ。私の文章が何を煽るのか。あの動画サイトとは。とくダネの一件とは。

 そしてこの方は私にこういうお願いをしてきたのだ。

>一度火がついてしまったら良心のある人が
>そんな事はやめましょう!と訴えても抑えることは不可能です。
>ですから多少のメールでしたら
>できるだけ無視してはいただくことはできませんか?
>腹だたしいとは思いますが、ほっとけば収まると思うのです。
>あとこれは、ずうずうしいお願いなのは承知なのですが
>「選手にもわたしにも失礼」の記事
>もう少し抑えめに書き直していただくことは難しいでしょうか?
>言ってらしゃることはもっともなのですけど
>ハラハラしてしまいました。
>今もあのコメント欄が暴走してないかと心配です。

 私はスケートおたくじゃない、と書いたとおり、どのサイトのどのコメント欄が暴走しているのか全く知らない。そしてそんなものをわざわざ時間を割いて読むほどヒマじゃないし興味が無い。
 それなのに、なんでわざわざ私が自分の文章を書き直す必要があるんだ? 「自分のファンが他の人に迷惑をかけてると知ったら彼女は心を傷めるでしょう」って、そういうことをしているのは誰だろう? 少なくとも私ではない。それなのに何故私が、他人の迷惑が浅田選手に知られないように自分の文章を修正しなければならないのだろう?

 この方はとても真剣で真面目で、真央ちゃんが好きで好きでたまらないのだ。だから気付かずに見ず知らずの他人(つまり私)に対して失礼なことをしてしまう。

 メールの最初にはこう書いてあった。

>最新記事の「選手にもわたしにも失礼」
>お怒りはごもっともだと思います。
>その前の浅田関連の記事をみれば
>フィギュアをある程度理解されているのがわかりますから。
>立場も偏ったものではないし、むしろ浅田ファンだと感じました。
>けれど今年はキムヨナあっぱれ!だったと。

 「お怒りはごもっとも」と書いているのにとても失礼だ。この文章の何が失礼なのか、普通はわかると思う。普通の基準が違うようだからはっきり書くが。

 私の書いたもののうち「浅田関連」しか見ていない。それで私を「浅田ファン」だと思い、仲間だと思ってこういう依頼をしてきたのだろう。
 私が書いたその他のブログや、スケート雑誌およびスケートサイトに書いた記事はおそらくまったく読んでいない。そういう人が初めてのメールで「フィギュアを『ある程度』理解されているのがわかります」と書いてくる神経が、私にはまったくわからない。

 私だって選手ではないから、自分がすべてわかっているとはもちろん思っていない。でも、私のスケートに対する理解が「ある程度」だというのなら、あなたはどの程度何を理解しているというのだろう。
 住んでいるおおよその場所と名前は書いてある。でももう一度問いたい。あなたは何様だ?

 こないだ書いた。「ひいきの引き倒し」と。

 あなたが浅田選手のことを好きで好きでたまらないのはわかった。もしあなたがフィギュアスケートというものに興味があるのだったら、他の選手を表面的に見て「浅田選手よりも上か下か」という短絡的な判断をするよりも、いろいろな選手の素晴らしいところを、成績や点数とは関係なく見てみたらどうだろうか。ジャッジとは関係なく私はここがいいと思う、と。どうせあなたも私もジャッジじゃないのだから。

 こないだテレビ朝日で放送された、国別対抗戦の告知番組を見た。みんなリラックスしてデザートを食べたりしていたが、他の選手をどう思うか、というところは真面目に話していた。例えば、カナダのロシェット選手の筋肉について、浅田選手や安藤選手がそれぞれに思うところを話したのだが、男子の織田選手までもが「トレーニングすると筋肉がつきすぎるからしてないって言ってました」とコメントしていた。
 みんなトップレベルのアスリートだし、ジュニアの頃から戦っているから、お互いのことはよくわかっている。このことと比べて、あなたの理解はどの程度なのだろう。

 どのレベルのどんな順位の選手であろうと「この選手はここがいいね」と見つけられるようになったならば、浅田選手のどこがすごいのか、非凡なのかが、今よりもずっとずっとわかるようになるはずだ。そして、同じ舞台で戦っている選手たちが、どれだけの努力をしてあの演技をしているか、選手同士がお互いをどう認め合っているかがわかるだろう。

 浅田選手がいかにすごいかを立証するために(わざわざそんなことをしなくたって、世界中の関係者が浅田選手のすごさはわかっていて、それでも勝てないことがあるということもわかっているんだけど)他の選手の粗さがしをしているような人には、リンクのトレースの上にキラキラと輝いている、その選手だけが持つ光なんか絶対に見えないのだろう。
 ものすごく残念だと思う。その光が見えないということは、浅田選手が持っている本当のスケートの力や光が見えていないということだから。順位とか得点とかとは全く別のところにあるんだけど。 

 この件についてのブログはこれにて終了とする。どこで何が暴走しようと知ったこっちゃない。
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