インターネットを使ったいじめや個人情報流出などのトラブルを未然に防ごうと、札幌市教委はトラブルの可能性があるサイトの監視を民間の専門業者に委託する方針を決めた。書き込みなどの悪質性の判断基準策定や、啓発活動を行うための組織をつくり、5月から運用を始める。
市教委は、昨年の夏と冬の長期休みに全市立校314校で教諭によるネットパトロールを実施した結果、生徒の顔写真を掲載したり個人への中傷など指導が必要なケースが18件見つかった。さらに今年2月、試験的に市内の小中高約10校を対象に専門業者に簡単な調査を依頼。その結果、「きもい」などと特定の生徒を中傷したり、個人情報の流出につながりかねない記載が約400件見つかり、市教委は専門業者の調査が必要と判断した。
特定の生徒・児童を中傷する「学校裏サイト」や、生徒個人が自己紹介する「プロフィル(プロフ)サイト」で顔写真や名前などの個人情報が見つかった場合、業者が市教委に通報。市教委が学校に伝え、生徒や保護者がサイト管理者などに削除を依頼する。個人が特定できなくても問題と判断された場合は市教委が削除を依頼。殺人などの犯罪予告や自殺を示唆するなど緊急性の高い書き込みなどは道警に通報する。
市教委はサイト監視と同時に、保護者や学校長などで構成する推進協議会を設立し、家庭や学校での啓発・防止活動も進める。市教委は「監視と啓発活動の両面でネットのトラブルを防ぎたい」と話している。【仲田力行】
毎日新聞 2009年4月11日 地方版