2009-04-13
■[雑学]「脱税できるかな」(西原理恵子)が私に教えてくれたこと
すでにいろいろなところで取り上げられていますが「アイデア」334号がすごく面白いので、うちを見に来るようなタイプのマンガ好きはみんな読むといいです。3,500円分の価値は十分にあります。後編も楽しみ。
さて。ここ最近大人しくしていた西原りえぞう先生が久しぶりに野犬マンガ家ぶりを発揮して非常に嬉しい今日このごろですが、当たるを幸い何にでも咬みつく芸風の中で私がひときわ好きだったのが、税務署との死闘を描いた「脱税できるかな」です。
「脱税できるかな」は脱税していた分の本税&延滞税・重加算税合わせて約1億円を払えと言われた西原さんが、ありとあらゆる手を尽くして2,300万まで値切った(※本当は3,100万円だが延滞税800万はばっくれた)話をマンガにしたものです。西原さん無茶しすぎ。
私はフリーになって初めて確定申告をした時非常にピリピリしていましたが、そのころにこれを読んでだいぶ気が楽になったのをおぼえています。言うまでもなく税務署とは仲良くするに越したことはないですが、万が一やりあうことになった時に知っておくと安心できる情報を(後に得た知識も交えて)紹介したいと思います。
(1)税務調査は長くて3日
中小企業相手の調査官は1週間に1件のノルマがあるので、事前調査・事後処理・次の調査の準備等の時間を引くと通常2日、長くても3日までしか調査はできません。
(2)調査官は仕事の邪魔はできない
「納税者の事業の邪魔をしてはならない」ことになっているので、税務署側の希望日程を変更してもらうことは可能です。抜き打ちの「無予告調査」でさえ正当な理由があれば断ることができます。
(3)納得のいかない指摘は承認しない
その場で承認せず「後日回答します」と言って保留。税理士さんと相談しましょう。
(4)追徴金は値切ることができる
我々の感覚では信じ難いことですが、西原さんの例を見るように追徴金は交渉で値切ることが可能です。懐事情を話してまけてもらったり、ミスか不正かを判定しがたいグレーゾーンを不正と認める代わりにまけてもらう(※調査官は「追徴額」よりも「不正発見」の方が評価が高くなる)など、いろいろな方法があります。
(5)始末書を書いてはいけない
調査官はミスか不正かはっきりしないことがらを、本人に始末書を書かせることで不正に確定させようとすることがあります。始末書を書くことにメリットはないので、何を言われても書いてはいけません。
(6)異議申立は最後の手段
誤解されていることが多いですが、修正申告は「出さない」ことができます。修正申告を拒否するとそこから先は税務署の更正(強制処分)→税務署長への異議申立→国税不服審判所への審査請求→地方裁判所に訴訟と納得いくまでの泥仕合に展開していきます。異議申立をされると担当調査官の評価に影響しますので、「修正申告を出さない」と言うと調査官の方から折れて妥協案を出してくることがあります。ただし異議申立は延滞税が余計にかかったり、税務署との関係が悪化したりする諸刃の剣です。
この他にも「領収書はけっこう通る」とか「眼をつけられた会社を潰して、よその区に前科の無いまっさらな会社を」とか「ごめんなさい。でもウチはこうなんです」とか洒落にならないものがあったりしますが、この辺は「脱税できるかな」をご覧ください。
不毛な睨み合い。