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ラノ漫 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-04-04

[]「努力・友情・○○」:長野規と浦沢直樹平野耕太のそれぞれの主張






西村繁男「さらば、わが青春の『少年ジャンプ』」31・32P

編集者は読者の顔が見えなくてはいけない。頭の中も胸の底も、いや財布やポケットの中身も見えなくてはつとまらない」


 それを信条とする長野は、その同じ調査の別項目で、五十の言葉を羅列し設問にそった言葉を選ばせるイメージ調査を行った。その結果、

 

 一番心あたたまることは……友情

 一番大切に思うことは……努力

 一番嬉しいことは……勝利


 この三つの言葉が突出して現れたのである。

 長野は、この三つの言葉を『少年ブック』の編集方針にすえた。(中略)


 この三つの言葉は、やがて『少年ジャンプ』に編集方針として継承されていく。『少年ジャンプ』においてはさらに徹底され、「すべての漫画の主題は、この三つの言葉の意味する要素を必ず入れる。三つ全部が入らなくとも、一要素はなんとしても入れる」ということが強力な編集方針となった。

さらば、わが青春の『少年ジャンプ』 (幻冬舎文庫)

さらば、わが青春の『少年ジャンプ』 (幻冬舎文庫)

意外に知られていないが「努力・友情・勝利」は少年ジャンプの初代編集長長野規が「少年ブック」の編集長時代に定めた編集方針を継承したものである。








ほぼ日刊イトイ新聞茶坊主のひとりごと。四十四杯目◎テーマは“努力 友情? 敗北”。ゲスト:浦沢直樹さん

浦沢 よく編集の人と言ってるのが、

    “努力 友情? 敗北”ですね。

    世の中って“努力”したから

    必ず“勝利”ってならないじゃないですか?

   “勝利”って言ってもその時点での話で、

   長い目で見れば“敗北”かもしれないし。

安直な「勝利」の否定。「友情」が“?”なのも面白い。








ぱふ」2009年5月号:平野耕太インタビュー・31P

平野 アンデルセンが死ぬのは初めから決めてました。ライバルの敵キャラが共同の敵に対して共闘する形はキャラクターのパターンですが最後は主人公との決着をつけなければならない。で、このまんがの場合、決着=死ですので…。決着がついたのに敗れた方を生かしておけるような種類の作品ではありませんし。「努力・友情・死亡」なんですよ。僕自身、共闘してそのまま仲間になって幸せに生きながらえました、という結末は許せなかったんです。ベジータだけは別。ブルマぱふぱふしながら幸せに暮らせ。

ぱふ 2009年 05月号 [雑誌]

ぱふ 2009年 05月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 雑草社
  • 発売日: 2009/03/30
  • メディア: 雑誌

勝敗よりも決着に伴う「死」に主眼を置く考え方。ベジータはお幸せに。






努力」と「友情」については否定的な言及はされていないが、単に語呂がいいから引用されただけで深い意味はない可能性があるため今回はスルー。浦沢・平野両者ともに「勝利」やそれに伴う喜び・快感に対する関心が薄く、敗北(やそれに伴う死)の方を重視している点が興味深い。












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ミーアキャット立ちする野良さん。こっち見んな。