名古屋市千種区の契約社員磯谷(いそがい)利恵さん(当時31歳)が2007年8月、インターネットの「闇サイト」で知り合った3人組の男に拉致、殺害された事件で、強盗殺人と営利略取などの罪に問われ、先月18日に1審・名古屋地裁で死刑判決を受けた愛知県豊明市、元新聞セールススタッフ神田司被告(38)が、名古屋高裁への控訴を取り下げていたことが14日、わかった。
同地裁によると取り下げは13日付で、神田被告の死刑が確定した。
同地裁は3被告のうち、神田被告と名古屋市東区、無職堀慶末(よしとも)被告(33)に死刑を言い渡し、神田被告の弁護人は即日、神田被告本人と堀被告の弁護側もその後、控訴した。無期懲役とされた住所不定、無職川岸健治被告(42)については、検察側、弁護側双方が控訴している。控訴取り下げについて、神田被告の弁護側は、「状況を把握していない」としている。
神田被告については弁護人も控訴しているが、「被告が取り下げた場合は、効力を失う」とする最高裁判例がある。その一方で、取り下げに対し、「被告に錯誤があった」などとの理由で、弁護人の異議申し立てが認められ、公判が再開されたケースもある。
利恵さんの母・富美子さん(57)は、「最高裁まで長い裁判になると思っていたので、正直なところほっとした」と話した。
報道機関からの問い合わせで取り下げを知り、仏壇の遺影に「(死刑が)1人は決まりましたよ」と報告したという。
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