2009-03-05
■[編集]描き文字がうまい人はマンガがうまい
電子館の庭の「F君が漫画の擬音から気づいたこと」というエントリを読んで思い出したことがあるので少し書きます。
私が出版社に入社した時についた直属の先輩は自由放任主義の人で、あまりものを教えてくれなかったのですが、数少ない教えの中に「描き文字がうまい人はマンガがうまい」というのがあります。
描き文字(擬音・オノマトペ・音喩)は音や迫力を加えたり、心理・状態のニュアンスを補強したり、動き(時間)を表現したりできる、マンガにとって重要な構成要素のひとつです。しかし今回強調したいのはそこではなく、描き文字というのは文字通り「描かれた文字」であるということだったりします。
言い換えると「絵でもあり、文字でもある」ものが描き文字であるということです。
「絵でもある」ということは、絵に求められることをすべて求められるということです。状況に応じて変化し、緩急をつけ、適切な形で配置することを求められるということです。たまに大きく書いた手書きの文字を描き文字だと思っているマンガ家さんがいますが、その認識は正しくありません。
シチュエーションに合わせて大きさも形も書体も線質も濃淡も変えて、さらには視線の力学(視線誘導)のことまで考えて、初めて描き文字と呼べるのです。先輩が言っていた「描き文字がうまい」というのは、おそらくそういうことなのだと思います。
迷彩(2)