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ラノ漫 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-12-26

[]悩める若人の手にこの本が届きますように:西原理恵子「この世でいちばん大事な「カネ」の話」




今日の一枚

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ア゛―――――ッ!!!(注:あくびしてるだけです)






私が今年読んだ本の中で、一番すごい本を紹介します。




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西原理恵子「この世でいちばん大事な「カネ」の話」




このタイトルはサイバラの照れ隠しです。実際の内容は「この世でいちばん大事なものを守るための「カネ」の話」であると私は思います。いつものサイバラの本とは少々趣が異なりますし、マンガではなく活字の本ですので、そのへんはご注意ください。




「この世でいちばん大事な「カネ」の話」は、お金がないせいで両親の罵り合いが絶えない家庭に生まれ、イラストレーターを志すも美大の予備校では最下位という、どんづまりだった著者が、どういうことを考えてどのような行動を起こしたか、そして何を学んだかを若者に向けてやさしく語っている本です。




トップの人間に勝とうと思っているからだよ。目先の順位に目がくらんで、戦う相手をまちがえちゃあ、いけない。

「どうしたら夢がかなうか?」って考えると、ぜんぶを諦めてしまいそうになるけど、そうじゃなくって、「どうしたらそれで稼げるか?」って考えてみてごらん。そうすると、必ず、次の一手が見えてくるものなんだよ。

自分の中の「ダメなところ」を、そんなに恥じることはないんだよ。肝心なのは、だめになったら、そこからどう切り返すかなんだから。どうやったら、そこで「自分なりの次の一手」を打てるかなんだからさ。




ジェームズ・C・コリンズはかつて「自分の強みを経済的な価値に変換できる仕事とは何かを考えなさい」と言いましたが、サイバラはさらにその上を行きます。一番になれなくていい。上手である必要すらない。何をすればやりたいことがお金になるのか。それで食べられるようになるのか。そう考えれば「次の一手」は見えてくる。これを超える「大人からのアドバイス」を、私は見たことがありません。




ちなみに予備校時代のサイバラ出版社に売り込みをしまくって、月収五万円分のイラスト仕事を手にします。




 目標は毎月、三十万円。だけどその時点で、わたしが実際に絵の仕事で稼いでいるお金は、毎月五万円だった。

 それは、つまり、その時点のわたしの才能につけられた値段が「五万円」だったということ。これを目標の「三十万円」に近づけるには、どうしたらいいのか?




若き日のサイバラがこの問題にどういう答えを出したのか。この先は本を手にとって自分の目で確認してください。




この本にはこの他にも




大人って、自分が働いて得た「カネ」で、ひとつひとつ「自由」を買っているんだと思う。

ギャンブルっていうのは、授業料を払って、大人が負け方を学ぶものじゃないかな。

こつこつ元手をつくりあげることもしないで、いとも簡単によそからお金を借りる人間の商売がうまくいくとは、わたしには、とうてい思えないもん。

「いくらがんばっても、どうにもならない」ってことを知ることは、とても大事なことだと思う。あまりにも疲れてしまっているのなら、ちゃんと休む。

人の気持ちとカネをあてにするっていうのはさ、「自分なりの次の一手」を打ち続けることをみずから手放してしまうってことなんだよ。




などなど、山のように名言が出てきます。




理想と現実のギャップに苦しんでいる人、特に学生の方にはぜひ読んで欲しい一冊です。ひとりでも多くの悩める若人の手に、この本が届くことを願います。