2008-11-11
■[料理]秋山小兵衛の鴨飯と鮎豆腐
酒のあとは〔鴨飯〕である。これは、おはるが得意の料理で、鴨の肉を卸し、脂皮を煎じ、その湯で飯を炊き、鴨肉はこそげて叩き、酒と醤油で味をつけ、これを熱い飯にかけ、きざんだ芹をふりかけて出す。
それまで黙然としていた孫介老人も、この鴨飯には、おもわず舌つづみを打ち、
「かようなものが、この世に、ござったのか……」
おどろきの声を発したのである。
鴨肉の脂身を煮出した汁でごはんを炊きます。
ごはんを炊いている間に、別の鍋で鴨の肉を水3、醤油4、酒5の割合で煮込みます(煮すぎると肉が固くなるので注意)。いったん肉を取り出して煮汁を冷まし、もう一度肉を浸してから薄く切ります。
肉をごはんの上に乗せ、刻んだセリをかけてできあがりです。
肴は湯豆腐である。
土鍋に金杓子で削ぎ入れた豆腐へ大根をきざんでかけまわしてあるのは、豆腐をやわらかく味よくするためで、煮出は焼干の鮎という、まことにぜいたくな湯豆腐だ。
「これはどうも大先生。大変なご馳走でございますねえ」
「まったく……」
干し鮎と昆布を2時間ほど煮込みます。いったん火を止め、汁を濾します。
半月形に切った大根を出汁に入れて、やわらかくなるまで煮込んだ後、豆腐を入れます(煮すぎないこと)。
今回干し鮎はこちらから取り寄せました。鴨の風味、鮎の香りと出汁、どちらも絶品。お試しあれ。