2008-08-10
■[書評]三次元の妹も悪くないよ!:伏見つかさ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」
今日の一枚
そんな「なに見てんのよ」みたいな目で見られましても。
私立高校で英語を教えている女教師な妹という、文字にするとえらいスペックな妹を持つ多摩坂です。
さて。先日うだるような暑さの中、電車とバスを乗り継いでアスキー・メディアワークスの新社屋に向かっていた時にばったり平和さん(※「平和の温故知新」の管理人さん)にでくわしまして。奇遇だなあと思って話しましたら「三木さん(※電撃文庫の編集者)が担当した新作読みました? おもしろかったですよ」とおっしゃるのですね。
で、アスキー・メディアワークスに向かっていた理由がその三木さんとの打ち合わせだったので、さっそく「あなたが担当した8月刊の新作を全部見せていただきたい」と言ったんですが、そしたらあなた、ものすごい微妙な反応を返しながら誤魔化して流そうとするじゃありませんか。珍しい。どうもよほど触れられたくない何かがあるらしい。そんな風に反応されるとこちらとしてもどうしても見たくなるわけで、もらって即目を通したわけです。それがこれ
伏見つかささんの新作「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」。これがねえ…おもしろかったんですよ。まだ売れ行きも判明してないのにマンガ家の候補と構成を一気に組み上げちゃったくらい。
お話は植物のような平穏な人生を送りたい主人公が、超優秀で生意気でキツい妹から、とある秘密について"人生相談"を持ちかけられることではじまります。秘密の内容はオビを見ていただければおおむねわかると思いますが、想像の斜め上を行ってますので、ぜひ実際に読んで確認してください。
ううむ、色々書きたいんですけど書くとネタバレになっちゃうんですよね、この作品。なんというか、社会的には超勝ち組なポジションにいる勝気な妹が、まったく異なるフィールドに足を踏み出すことでテンパッたりヘコんだり暴れたりする(そしてその一挙手一投足が実にかわいらしい)のですが、それを逐一主人公がフォローするんですよね。なぜかと問われれば、それは兄だから。彼氏彼女の関係ではない、兄妹だからこその気づかいや手助けが見ていてとても気持ちがいいです。
あと、主人公には幼馴染な彼女がいまして、この子がまたおばーちゃん系ほんわか天然地味メガネで癒し系オーラを放ちまくりなのですが、この子が個人的にすごいツボです。次巻は出番増量を希望。
1巻ですっきりまとまってはいるものの、早く続きが見てみたい期待の新作。おすすめです。
- 作者: 伏見つかさ
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/08/10
- メディア: 文庫