2008-06-01
■[編集]「1枚の絵は1万字にまさる」:週刊少年マガジン第3代編集長・内田勝氏死去
今日の一枚
「いっちゃうの?」
「たけくまメモ」を見て知ったのですが、内田勝氏が30日にお亡くなりになりました。直接お会いしたことはありませんが、長野規氏、西村繁男氏と並んで私が最も影響を受けたマンガ編集者の一人であり、つい先日氏も登場する「マンガ編集者狂笑録」を読んだばかりでしたので大変驚いております。
ご存知ない方のために説明しますと、内田勝氏は弱冠30歳で週刊少年マガジンの編集長に抜擢されて「巨人の星」「あしたのジョー」「天才バカボン」などの大ヒットを連発。また大伴昌司氏という、荒俣宏氏をして「戦後文化人の中で“奇っ怪紳士”と呼べる存在はこの人しかいない」と言わしめた異才を起用した「巻頭カラー大図解」シリーズで怪獣ブームや妖怪ブームを引き起こしたり、100万部達成記念に編集部による富士登山を敢行したり、「あしたのジョー」の力石徹の告別式を挙行したりといった、型破りなエピソードの数々をもって知られる伝説的な編集者です。
※週刊少年マガジンの巻頭カラー大図解シリーズ「劇画入門」で掲げられた
“1枚の絵は1万字にまさる”宣言
私個人としてはビジュアル中心の社会の到来を予見した“1枚の絵は1万字にまさる”の宣言や、週刊少年サンデーと繰り広げた赤塚不二夫氏の争奪戦、そしてメディアミックスの先駆的な企画の数々が強く印象に残っております。最後に氏の編集者観を引用して結びに代えたいと思います。
マンガ誌といい、カラー・グラビア誌といい、衛星デジタル・テレビといい、それら自体は“器”であるに過ぎず、問われるべきは、むしろ雑誌の読者なり、多チャンネル・テレビの視聴者なりが、それぞれの時代の中で求める“心の糧”をどう作っていくかであろう。編集者(あるいはプロデューサー)は、その意味から何にも増して“良き料理人”であらねばならない。
氏のご遺徳を偲び、謹んで哀悼の意を表します。