2007-09-19
■[お仕事]電撃黒マ王創刊
今日は今月分の連載をすべて校了し終わり、休む間もなく電撃大王の編集会議と10月・11月刊の単行本作業をこなしました。どれだけやっても終わりが見えないのは精神衛生上よくないですね。
さて。本日編集に携わった新雑誌が発売しました。田中久仁彦さんのホイホイさんが表紙を飾る「電撃黒マ王」です。
電撃黒マ王 (デンゲキブラックマオウ) 2007年 10月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: 角川 (メディアワークス)
- 発売日: 2007/09/19
- メディア: 雑誌
巻頭カラーで掲載の「灼眼のシャナ」外伝マンガを担当しています。作画は木谷椎さん。私が自信を持っておすすめする俊英です。原作担当の三木一馬をして「この作品だけは編集者としてかかわりたくなかった。ネームとか見ないで、一読者としていきなり完成原稿で読みたかった」と言わしめた一品。原作ファンにぜひ一度読んでいただきたいです。
なお創刊号では予告のみですが、Leaf×月吉ヒロキさんでお贈りする「痕−きずあと−」、緋鍵龍彦さんの「唐傘の才媛(仮)」、邑澤広士さんの「倫敦キャットピープルズ」も担当します。
3号目で担当する全作品がそろいますので、長い目で見ていただけますと幸いです。
■[編集]原作物はとりまわしのいい道具である
さてさて。昨日は「コミック業界は主力作家にはオリジナルを描かせる。原作物は舐められている」という話をしました。今日は原作物の便利使いのしやすさについてお話しします。
オリジナル志向がとても強いマンガ業界に原作物があるのは、ぶっちゃけお金になるからです。メディアミックス効果で原作の人気に応じた売り上げを見込むことができます。
そして「売り上げを見込める」というのは雑誌にとって重要であるため、原作物はタイトルさえ良ければオリジナル作品よりもずっと採用率が高くなります。
ここからが重要なのですが、オリジナル作品で連載を勝ち取る力がない作家でも、原作というゲタをはかせれば使うことができます。
光るものはあるが実戦経験がない新人。売り出していきたいが知名度の足りない若手。安定感はあるがトウのたった中堅。親密になりすぎて切るに切れないロートル etc...。このような、なにがしかの問題がある作家を、編集者は仕事の性質上たくさん抱えています。そんな作家を使えるようにする魔法の道具。それが原作物なのです。使い勝手の良さを理解していただけるでしょうか?
このようにあまりに使い勝手がいいため、おうおうにして原作物は素材の持ち味をいかす方向には行かせてもらえず、編集者の都合にふり回されます。
そのようにしてできたものが良いものになるはずもなく、たいていはファンを失望させ、黒歴史認定されて消えていくのです。便利すぎるがゆえの悲劇と言えるでしょう。