ボランティアの多様化影響
昨年まで11年連続、全国で3万人を超えた自殺者。深刻な不況が続き、さらなる増加が懸念されるなか、大阪市港区のNPO法人「国際ビフレンダーズ・大阪自殺防止センター」で、電話相談を受け付けるボランティア相談員が減少し、業務に支障が出始めている。最も多い時期の6割に落ち込み、昨年の相談も前年比1547件減の1万936件にとどまった。関係者は「相談を受けきれないため、自殺を止められなかったかもしれず、危機的な状況」と訴えている。
(増田博一)
相談員が減少し、24時間対応が難しくなっている大阪自殺防止センターの電話ブース(大阪市港区で)
同センターは無休で24時間、相談を受け付けており、相談できる機関がほとんどない深夜や早朝も対応。1978年に相談員約40人で始め、阪神大震災後はボランティアへの関心の高まりから約100人まで増えた。しかし、その後、減り続け、現在は約60人。24時間対応などが難しくなっているという。
相談員は無報酬で、交通費は自己負担。2年間の専門的な研修(有料)を受ける必要もある。同センターは「ボランティアは多様化しており、こうしたことが減少につながっているのではないか」とみる。
昨年の府内の自殺者数は2128人と都道府県別で2番目に多かったが、電話相談はこれまで自殺防止に貢献してきた。「今、死のうと思ったけど、話を聞いてくれたから……」。そう話し、かろうじて思いとどまった男性。「次に電話した時、つながらなければ自殺する」と言い残す人も。
最近は不況が暗い影を落とす。資金繰りに苦しんでいるという自営業男性は「昨年末から仕事が減り続けているが、家族には打ち明けられない。死にたくても死にきれず、つらい」と苦しい胸の内を吐露した。
澤井登志所長は「追いつめられた人たちにとって、相談員は最後の支え。救える命を失わないよう、一人でも増えてほしい」と願う。
一方、同センター以外でも相談員は減少傾向。「日本いのちの電話連盟」(東京)に加盟の全国49センターで計7045人(08年)と、前年より29人減った。
大阪自殺防止センター(06・6251・4339)は5月7〜28日、相談員を募集する。
(2009年04月14日 読売新聞)