犯罪やいじめ、事故の犠牲になった人の写真などを飾り命の大切さを訴える「生命(いのち)のメッセージ展」が5月17日、福井市西開発4の県自治会館で開かれる。02年の交通事故で小学6年生だった長男を亡くした同市三郎丸の理学療法士、宮地雅之さん(43)と美貴子さん(43)夫妻も遺品を提供し、メッセージを寄せる。長男は意識不明のまま5カ月間頑張ったが力尽きた。雅之さんは「もっと生きたかった息子の思いを感じてほしい」と話している。
同展は交通事故で息子を失った造形作家の鈴木共子さんが01年、東京都内で開いたのが始まり。被害者の身長に合わせた人型のパネルに遺影や大切にしていたものと家族のメッセージを飾り、訪れた人の間に被害者・遺族に思いを寄せる共感の輪が広がっている。
宮地さんの長男貴弘さんは02年9月18日夕、自宅近くで自転車に乗っていたところを乗用車にはねられ、03年2月に死亡した。運転手の女性は、「事故は避けられなかった」として不起訴処分になった。長男の命がないがしろにされていると感じた宮地さんは同年秋、メッセージ展に初めて参加。活動は5年を超えたが、宮地夫妻は「遺族の悲しみや命の大切さを運転手が感じれば事故は減るのでは」と希望を持ち続けている。
来月のメッセージ展では貴弘さんのほほ笑む写真と愛用の靴に、美貴子さんのメッセージが添えられる。会場であいさつする予定の雅之さんは「ハンドルは命と同じ重さがある」と呼び掛けるつもりだ。
当日は鈴木さんをモデルにした映画「0からの風」が2回(午前10時~正午、午後1~3時)上映され、上映時間に合わせてメッセージ展を開く。いずれも入場無料だが500円の募金を集めている。問い合わせは福井被害者支援センター(0776・88・0801)。【幸長由子】
毎日新聞 2009年4月14日 地方版