大阪市中心部から関西国際空港へのアクセスを改善する鉄道「なにわ筋線」が、実現に向けて動き出す。国土交通省は17日、大阪府や大阪市、鉄道各社、経済団体などのトップと事業化に向け協議。計画推進の合意を得た上で、7月にも都市鉄道調査に入る方針だ。一方、財政難の府や市、不況に苦しむ鉄道会社にとって整備費の負担が課題となる。
なにわ筋線はJR新大阪駅を南下し、途中で分岐してJR難波と南海汐見橋の2駅につながる10・2キロの路線で、関空に直結する。現在のJRを利用すると、大阪駅から関空までは約1時間かかるが、半分程度に短縮できるという。
04年の国交省近畿地方交通審議会の答申でも「中長期的に整備すべき路線」とされたが、棚上げされてきた。自治体の財政難が影響し、事業主体や整備方法、料金体系などを詰められなかったためだ。
今回、橋下徹知事が「関空の活性化に不可欠」と同線の実現を働きかけたのをきっかけに、国交省がトップ会合を打診した。都市鉄道調査は採算性を見極めるために必要で、国交省は今年度予算に計上された1億5000万円を使い、2~3年かけて進める。
国の調査で当初見積もられた総事業費は3000億~4000億円に上った。ただ、新大阪駅から梅田北ヤードの新駅までの約4キロは、地下化が進むJR東海道支線と共用できるため、費用は抑えられる見込み。
事業費は、国と自治体、鉄道会社が3分の1ずつ負担する方式が採用される公算が大きい。自治体間の分担割合は府と市が協議で決めるが互いに台所事情は厳しく、難航する可能性も残る。【鳴海崇】
毎日新聞 2009年4月14日 大阪夕刊