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子供の携帯電話利用:中学生はメール漬け 高校生は「恋の告白は直接」

携帯電話の所持率。「自分専用の携帯電話を持っている」と「家族と一緒に使う携帯電話を持っている」をあわせた割合(ベネッセコーポレーション)
携帯電話の所持率。「自分専用の携帯電話を持っている」と「家族と一緒に使う携帯電話を持っている」をあわせた割合(ベネッセコーポレーション)

 中学生の3人に1人が1日に21回以上友だちにメールを送っており、高校生の4人に1人を上回っていることがベネッセコーポレーション(岡山市)の調査で分かった。メールにすぐ返事を出す割合も、中学生が7割で高校生の6割を上回り、中学生の方が、メールを通した友人関係が密接で、メールへの依存度が高いことが明らかになった。

 調査は08年9~11月にかけて、小学4年生~高校2年生を対象に、学校を通じた記入式アンケートで実施し、計約1万人が回答した。内訳は小中学生がそれぞれ約3000人、高校生約4000人で、東京23区、県庁所在地クラスの都市、町村部から、人口規模に応じて抽出した。

 携帯電話の所持率は、小学生が3割、中学生が5割、高校生が9割。中3の55%から高1の91%に急増する。また、中学生では女子の所持率が男子より高く、最大約20ポイントの差があるが、高校生になると男子の所持率が女子に追いつく。

 携帯電話で友だちにメールを送る小学生は41%。中学生88%、高校生92%で割合は高校生の方が多いが、頻度を見ると中学生が多い。1日のメール送信が20回以下なのは中学生53%、高校生65%に対し、21回以上は中学生33%、高校生26%で、中学生の方が頻度が高かった。「メールが来たらすぐに返事を出す」のも、中学生は71%、高校生62%、「直接話すよりメールの方が気持ちを伝えやすい」のも、中学生42%、高校生32%で、どちらも中学生のほうが多い。

 調査・分析メンバーの酒井朗・大妻女子大教授(教育社会学)は「中学生は、友だち同士の同一性を求める発達段階にあり、携帯電話は同一化の格好のツールになる。いじめなどに発展しやすく、危険だ」と懸念する。同一化を求める傾向は女子の方が強く、友人が携帯電話を持つと、同じように持つため、中学生の携帯電話の所持率も女子の方が高いのではないかとみる。

 また、高校生は約7割が「あまり親しくない友だちを遊びに誘う」時にメールを使う一方、「親に謝る」(82%)、「好きな人に告白する」(64%)、「相手に不満を伝える」(59%)時は直接話していることも分かった。同社によると、インタビュー調査では「『謝る時は、口下手なので、整理して伝えるためにメールで言う』という回答もあり、考えを伝えやすい方法を選んでいる」と見る。

 同メンバーで、学校の情報教育やIT環境整備についてアドバイスしている中川一史・放送大学教授(情報教育)は「携帯電話を学校に持ち込ませない方向で議論が高まっているが、持ち込まなくても指導は必要だ。子供たちは携帯電話の楽しい面と怖い面を感じ取っている。実態調査の結果を踏まえ、学校での教育に生かしたい」と話した。【岡礼子】

コミュニケーション手段の選択。上から、「親しい友だちを遊びに誘う」「あまり親しくない友だちを遊びに誘う」「好きな人に告白」「相手に不満を伝える」「親に謝る」(ベネッセコーポレーション)
コミュニケーション手段の選択。上から、「親しい友だちを遊びに誘う」「あまり親しくない友だちを遊びに誘う」「好きな人に告白」「相手に不満を伝える」「親に謝る」(ベネッセコーポレーション)

2009年4月14日

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