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「追い出し屋」被害で一斉提訴へ 5都府県12人

2009年4月10日16時40分

写真:追い出されて4日間、ネットカフェなどで過ごした元派遣社員の男性。自宅に戻り、契約書を読み返した=大阪府茨木市追い出されて4日間、ネットカフェなどで過ごした元派遣社員の男性。自宅に戻り、契約書を読み返した=大阪府茨木市

 家賃滞納を理由に強引に退去を迫られ、居住権を侵害されたとして、5都府県の借り主12人が家賃保証会社などに慰謝料など1人あたり約100万〜300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁や大阪簡裁など6地・簡裁に来週中に起こす方針を決めた。原告は非正規労働者らで、大量失職者が出た年度末に被害が集中していた。「追い出し屋」被害をめぐる全国一斉提訴は初めて。

 訴えるのは東京、大阪、兵庫、奈良、宮崎の20〜60代の男女12人。元派遣社員や日雇い労働者、パート、アルバイトらで、大半が年収200万円以下の低所得者。自宅を閉め出された後、ネットカフェのほか、車や公衆トイレなどで路上生活を強いられた原告もいる。

 滞納理由は派遣切りやリストラ、仕事の激減による収入減と、病気の治療代や消費者金融への返済などによる支出増など。原告12人のうち7人は1月以降、被害に遭った。

 被告は不動産会社、不動産管理会社、家賃保証・回収会社など約15社と家主ら。訴えによると、原告らは滞納後、深夜・未明の取り立て、不在時の無断侵入、鍵交換、家財撤去などで退去を強いられたとしている。

 追い出し行為について、国土交通省は2月、家賃保証会社を対象にしたガイドラインを作成。しかし、最近は管理会社による追い出し行為が横行しているという。

 弁護団「全国追い出し屋対策会議」は「住まいを奪われれば路上生活に直結しかねず、次の就職先を見つけるのも困難となる。裁判を通じて、『貧困ビジネス』の違法性を明らかにし、被害の拡大を防ぎたい」としている。

 追い出し屋被害をめぐっては昨年12月以降、関西在住の借り主5人が家賃保証会社などを相手に損害賠償を求める訴訟を起こしている。(室矢英樹)

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