「受診時の心構え」をテーマに第117回「患者塾」がこのほど開かれた。小児科なら子どもの状態を的確に伝えられるか、また健康診断や人間ドックでも、まず予診票の大切さを医師は説く。
小野村さん 患者さんが受診する時、予診票に症状や飲んでいる薬を書きます。小児科で、親として知っておいてほしい基礎知識はありますか。
津田さん 予診票は重要です。例えば、せきが昨晩から始まったのか、2週間続いているのかで考え得る病気や処置が違ってきます。今の状態▽症状が始まった時期▽これまでにかかった病気▽予防接種歴▽アレルギーの有無▽飲んでいる薬や副作用のあった薬--はきちんと書いてください。
予防接種歴や身長体重を記録する母子手帳を保険証や薬手帳と一緒に持参することも大事です。大切な場所、同じ場所に保管するといいでしょう。
最近はお父さんの付き添いが増えましたが、いつからどんな症状があるのか把握していないお父さんもいます。お母さんにも確認して紙に書いてくるといいですね。
小野村さん ぜんそくのお子さんは夜間にひどい症状を訴えることがあります。どの程度なら救急車を呼ぶべきですか。
津田さん 苦しくて息ができない▽陥凹呼吸が強くどんどん汗が出る▽チアノーゼ(顔や唇や手足のつめの色が青紫色になった状態)▽意識障害があり痛みに反応しない--などです。ぜんそくの場合、ひどくなると体内の二酸化炭素の濃度が上がり、意識がなくなる前に暴れることがあります。暴れ出した時や「ひゅーっ」という喘鳴(ぜんめい)音が急に消えて状態の悪い時は救急車を呼んでください。
小野村さん 田中先生は健康診断のご担当です。予診票で工夫していることはありますか。
田中さん 企業の健診や人間ドック、昨年から40歳以上の人に義務付けられた特定健診の担当です。健診の予診票は通常の外来より細かいですが、記入しやすいよう○を付ける形にしています。
病歴を記入してもらいますが、循環器を担当していたころ、時間がたつと病名が患者さんの中で変わってしまうことがありました。医者は正しい診断名や治療の経過を、紙に書いて伝えるといいと思います。
小野村さん 健診に来る方にアドバイスを。
田中さん 特定健診は「血圧も測ったことがなく、初めて健診を受ける」という人がほとんどです。自分は元気だと思っていても、異常が見つかる可能性は高いです。メタボリック対策だけでなく「病気が見つかるかもしれない」と思って受診してください。
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子どもの時から病院は苦手だった。病院に行くと、かえって病気になってしまいそうな気がしたからだ。大人になってからは、その気持ちに加えて自らの不摂生が見抜かれるのが、つらかった。
世間の嫌われ者と言われている喫煙人間であり、休肝日をなかなか作れない飲酒人間。動かないで済むならば、いつまでもじっとしているのが好きな無精者。とにかく体に良いことを、できるだけしないで過ごしてきた。
そんな人間が「患者塾」の担当になるとは、トホホ。いいかげん健康に留意しろということなのかなあ。【御手洗恭二】
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夏目高明さん=夏目心療クリニック(福岡市博多区)
津田文史朗さん=つだ小児科アレルギー科(水巻町)
仲野祐輔さん=八屋第一診療所(豊前市、外科)
田中道子さん=福岡赤十字病院健康管理疾病予防センター長(循環器内科)
下地栄壮さん=しもじ内科クリニック(福岡市東区)
伊藤重彦さん=北九州市立八幡病院副院長(外科)
司会
小野村健太郎さん=おのむら医院(内科・小児科)
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〒807-0111 福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内
電話093・222・1234
FAX093・222・1235
〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2009年4月7日 地方版