きょうのコラム「時鐘」 2009年4月14日

 琵琶湖まで花見に出掛けた。湖岸の桜を船から眺めるという趣向である

湖面に映る満開の桜並木は、風情がある。が、「花より団子」が目当ての花見には、揺れる船は何だか落ち着かない。湖上はヨットやカヌーでにぎわい、警察の警備艇も出ていた。暴走するモーターボートが出現し、花見気分をぶち壊すという。どこにでも、乱暴者はいるし、追い払う仕事も生まれる

アフリカ・ソマリア沖での海賊退治に思いが飛ぶ。海上自衛隊の駆逐艦が「長距離音響発生装置」で、立て続けに無法者を追い払った。大音量で「喝」を食らわせたのである

うまくいったと喜ぶのも、海賊を弱虫と見るのも早計である。同じ海域で米国人船長が人質になり、米特殊部隊が銃撃戦の末に救出した、と報じられた。武器の使用が制限される海自の「喝」が、命がけであることが、あらためて浮き彫りになった

どれだけ世間から一喝されようと、花見酒に浮かれたような無法運転は後を絶たないし、新手の振り込め詐欺が連日のように紙面に載る。怒鳴られて退散する海賊や暴走ボートなど、まだいい方なのだろうか?