4月に入って「格下げラッシュ」が始まった。
8日、有力格付け会社ムーディーズがみずほ銀行など同グループの預金格付け、長期債務格付けをAa2からAa3に、劣後債務格付けをAa3からA1に引き下げた。これを皮切りに、9日、フィッチ・レーティングスが、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループを格下げ方向で見直すと発表。S&Pは向こう6カ月から2年程度の格付けについて、銀行や企業の信用力が落ちていく可能性を示唆し、日本郵船、川崎汽船の長期格付けを下げた。
日本の金融機関や企業の経営実態と先行きの厳しさを、世界の有力格付け会社が相次いで指摘したのである。
証券幹部がこう言う。
「格付け会社が注目しているのは、銀行の財務力です。銀行の取引先である企業の急速な業績悪化や倒産件数の増加で、銀行に焦げ付きが生じている。同時に、不動産価格の下落で銀行の保有資産の価値が大きく毀損するとみているのです」
格付け会社の厳しい見方は、直ちに証券会社が個別企業に下した投資判断である「株価格付け」に跳ね返っている。ゴールドマン・サックスはムーディーズの格付けの引き下げを受けて、みずほFGの目標株価を150円とした。10日のみずほFG株価は終値で前日比21円安の198円と200円を割った。
格下げラッシュが本格化するのはこれからだ。「格付けが下がり、株価が下落する」という負の連鎖は、09年3月期決算が発表されると急増するというのだ。
SMBCフレンド証券ストラテジストの中西文行氏がこう説明する。
「市場は、現在の株価に格下げを織り込んでいません。それだけに発表された決算内容が当初予想を下回ったり、業績が著しく落ち込んだ金融機関や企業ほどショックが大きくなると予想されます。格下げは、資金調達の負担を重くするため収益を圧迫する。しかし、資金調達できなければ、企業はますます窮地に陥ってしまいます。主要企業を中心に格下げされるところが続出すれば、一時9000円台を回復した日経平均株価が再び急落することになります」
いま、日本経済の命運は格付けが握っている。
(日刊ゲンダイ2009年4月11日掲載)