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【社説】

民主連敗 現実直視し次に備えよ

2009年4月14日

 千葉に続き、秋田知事選で民主党系候補が敗れた。小沢代表の献金問題が与えた影響は否定できない。総選挙を前に世間の厳しい批判がまた浮き彫りになった。現実を直視し早急に態勢を立て直せ。

 二週間前の千葉県知事選では、自民党が三分裂したにもかかわらず、民主党などが推した候補が大差で「無党派」候補に敗北した。

 秋田では、野党陣営の社民が自民県連とともに支持する候補と、民主、国民新の地元組織が支持する候補による事実上の一騎打ちになった。連合秋田も自民系候補の支援に回った。

 分裂構図で苦戦必至だったのに加え、党本部は一切かかわらなかったとして、民主内は表向き動揺を隠している。一方、自民は「政府・与党の景気対策が浸透したのも勝利の一因」と余裕の表情だ。

 小沢氏の秘書を巻き込んだ西松建設事件が民主にマイナスに働いたというのが、世間の受け止めだろう。世論調査では、代表続投反対が六、七割。小沢氏は説明責任を果たしていないとの指摘が圧倒的多数だ。

 二つの知事選で小沢氏は積極的に現地入りする従来の戦術を控えざるを得なかった。総選挙に向けても、代表として先頭に立てないでいる。こんな状況が続くのは、異常な光景に見える。

 進退問題をめぐっては、秘書が起訴された時に辞任するのが筋との声が党内外にあった。結局、小沢氏は「政権交代の実現が最後の仕事だ」と当面の続投を表明したが、こうなってみると、判断を間違えたのではないか。

 検察の捜査が意図的という小沢氏の主張も分からないではない。しかし法廷闘争と政権交代の話はやはり別である。執行部は第三者委員会に一連の献金問題を検証させるという。世論を納得させる内容でなければ、民主への不信が募るだけだろう。

 “小沢ショック”に揺れる民主は、与党に足元をみられ、国会攻防も受け身に回った印象が強い。後半国会の論戦をどのように熱くするか。ポイントは財政出動十五兆円規模となる補正予算案の審議だ。

 民主が批判する「与党の選挙向けのばらまき」との問題点を、一つ一つ議論で精査し、国民に選挙への判断材料を提供すべきだ。

 その観点からすれば、与党が提案する党首討論も民主は拒否せずに受けてはどうか。政権交代を目指す政党トップが討論の舞台に立てないというのはおかしい。

 

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