ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン北海道> 記事

新幹線延伸で経営分離の江差線

2009年04月09日

■三セク化 赤字117億円に
■道と地元 開業後30年の収支予測

 北海道新幹線の新函館延伸に伴い、JR北海道から経営分離される江差線の一部(五稜郭―木古内間、37・8キロ)を自治体などが出資する第三セクター会社が運行した場合、開業後30年で累積赤字が100億円を超えることが分かった。運賃値上げや人件費支援など三セクの経営が成り立つよう試算しても赤字体質から脱却できず、バスに転換しても赤字経営は免れない見通し。鉄道存続には多額の公的支援が不可欠となる。

 道と函館市、北斗市、木古内町でつくる道道南地域並行在来線対策協議会が、江差線の将来需要予測と収支予測調査の結果をまとめ、8日の道議会新幹線・総合交通体系対策特別委員会に報告した。

 対策協は昨年9月、江差線の普通列車の乗降客を集計し、道立木古内高校の閉校なども考慮して、利用者数を一日平均2418人(08年度)と算出した。

 北海道新幹線が新函館まで開業するのは16年度の予定だが、直後に三セクの江差線が開業したとすると、一日平均利用者は2255人に減少。開業30年後の45年度は4割減の1375人になる見通しだという。

 初期投資には、JR北海道から線路や土地、建物などの資産を引き継ぐ費用(13億4千万円)や車両11両の購入費(13億2千万円)など40億6千万円が必要と試算。JRから経営分離された道外の三セク鉄道にならって初期投資を出資金や補助金で賄ったとしても、開業1年目から約3億4千万円の赤字になり、開業後30年間で累積赤字は117億円になるという。

 対策協は、赤字を少しでも抑えるため、(1)運賃3割増(2)三セク以外が人件費の一部を支援(3)鉄道施設の保有・管理を自治体などが請け負い、三セクは運行だけ担う「上下分離方式」の採用――を実施した場合の収支見通しも試算した。それでも開業時は9千万円の赤字で、開業30年後の累積赤字は21億3千万円に達するとしている。

 また、対策協は、バスに転換して函館―木古内間に現在のJRと同じ本数を走らせるケースも試算した。利用者の減少率を25%減と50%減の2パターンで想定したが、いずれも開業30年後の累積赤字は12〜25億円ほどになるという。

 ただ、経営分離される区間は、一日上下50本の貨物列車が走る「北海道と本州を結ぶ物流の大動脈」(道)でもある。このため、バスに転換した場合は貨物列車の運行を維持する事業方式を検討する必要があるという。

 対策協は11年度末までに方向性を明らかにする方針だ。

PR情報
朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

マイタウン地域情報

ここから広告です

広告終わり